ATOK、クリエイティブ系アプリで暴れまくる

ATOKは非常に優秀な日本語サポートツールです。
なのですが…………。

相性というものなんだと思います。
高機能が故に、かみ合わせに繊細さ求められるということが分かりました。


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ATOK使ってる?

日本語IMEの中で日本語に特化し、それだけをサービスとしているソフトウェアです。
IMEとは、入力方法編集プログラムで、簡単に言えばキーボードで入力した文字を変換される仕組みです。

日本語は特殊で、ひらがな、カタカナ、漢字など日本語の中にも様々な表現があり、
単純にひらがなを並べているだけで、単語や文章を表現にするのに適していません。

IMEは入力した文字を単語や文章として変換する際に役立つのです。
日本語では同じ読み方で、別の漢字表現で意味が違ったりしますよね。
そういった表示を効率化してくれるのがATOKです。

この変換システムはパソコンの前身ワープロ時代から存在し、
様々な表現を持つ日本語では、必須のプログラムだったと言えます。

とは言え、パソコンから入った人やスマホ世代からするとATOK使おうとする人なんて、
そんなに多くないのも事実。

だって標準のOSのシステムでもそれなりに優秀で、
わざわざ金を払う必要があるのか?
と、思っているところでしょう。

考えてみれば、ビジネスのメール文もある程度慣れれば、定型文のような型がありますし
返す内容も仕事に慣れれば固定化してくるので、半分自動学習が進んでいるIMEのプログラムであれば
過去の文章に似たような変換候補を読み出してくれるので、それほど迷いがなくなってくる。

それに友達との会話であれば、よりシンプルで短い短文でのやりとりになるので
変換がそもそも、それほど必要がない。

という点から考えると、昔ほどPCを使う人にとって必須のツールというよりは
文字を仕事にしている人、ライターや編集者、ブロガーやアフェリエイターなどといった
専門的なコア層に求められているツールになっているのではないかと感じています。

動画編集者にも使えるツール

動画を仕事にしているブログなので、なんでお前が?
という疑問も沸いてくるかもしれません。

個人的な点で言えば、文章を作ることは嫌いではないのですが、
誤変換やタイプミスが多くどうしてもそれを自分自身ではそれほどチェックできないタイプの人間だからです。

色々試してみたものの、性格や個人の性質的なものなんだと思います。
文字をチェックしている間に色々なものが気になってしまい、そこに集中できないのもあります。
そういった弱点もあって、個人でも気を使いますが、ツールにそこは頼ろうとなったわけです。

それがATOKだった。

ATOKイミクルが使える

ATOKの良さは変換機能の良さの他に
ダイレクトに辞書検索できる点が動画編集などの仕事をする上でも便利でした。

動画の生の収録音声を聞いたことありますか?
Youtuberは、鍛えられた一般人です。

普通の人は、あんな簡単にすらすら喋れません。
普通の人のインタビューの内容を聞いてると、
何を言っているか判別できないワードに遭遇することは多々あります。

言いよどみなのか、専門用語なのか、業界略語なのか、はたまた造語? 方言?

というように、聴いていると判定出来ないワードが時々出てきます。
現場で収録に立ち会っていなければ尚更です。

バラエティー系のコンテンツでもなければ、
ある意味専門的な分野に片足を突っ込んでいく形になります。

すると、どうしても専門用語が入りがちです。
話し手は、そんな風に思っていないことが殆どですし、誰しもやっていることです。
ですが、別の業界の人間からするとまったく新しい言葉に聞こえてしまうのです。

「パケ」という言葉で何を思い浮かべるでしょうか?
動画の仕事をしている人であれば「パケ」と言えば、
「完成品の動画」「動画を完成させる」という意味として聞こえます。

通信インフラ系や50、60代の人だった場合は「パケ」は
「パケット通信」「パケット通信料」という意味で言っているかもしれません。

小売り業などの人であれば「パケ」は
「小袋のパッケージ」「袋にパッケージング」という意味で言っているかもしれません。

言葉はその人の人生を表すように、
その言葉の中には当たり前のように他の人からすれば業界用語が混じっているものです。

子どもや主婦でも同じです。
コミュニティの中で使われている「ツーカーな言葉」「隠語」や省略表現や俗称も上記のような言葉と同じです。

誰だって使ってるんです。

その専門用語、それが文字起こしをする時にトラブルを起こします。

プレミアプロの自動文字起こし機能は優秀ですが完璧ではありません。
専門用語はどうしても複雑で一般的ではないため、確実に誤変換を起こす部分になります。

字幕を付ける場合、正しい表現が求められるのは、作業をした人であればわかるはず。
それで間違っている部分は正しい言葉を調べないといけない。
しかし、専門的な用語になればなるほど、情報が少なく正しい漢字表記がわからなかったりします。

さらに問題を複雑にしているのは、方言や言いよどみの混在です。

例えば、方言と専門用語が混ざるケースで多いのは生産者です。
漁業や農業に従事されている人の話では、名称が地域ごとの独特な呼び方があったりします。
しかも擬音ですか!?というような「うにゃ」「ぬご」とかそいう感じの言葉だったり、
正直映像をカットして、飛ばしたいくらいなのですが、
害虫のことだったり、意外と重要なワードだったりします。

害虫や魚の名前など検討が付くようなら良いのですが、
手法などの技術の表現だったりすると、リサーチと検証の難易度が非常に高くなります。

すると、一言のテロップをチェックするのに
15分、30分といった時間、いやそれ以上と、時間をとられてしまうのです。

そんな時にATOKイミクル。
文字起こしで、よくわからないワードの部分をドラッグしてイミクルで検索。

ATOKイミクルは広辞苑などの辞書と連動しているので、ダイレクトに検索できるのが特徴です。
ここで、ざっくりと情報を探ります。知らない名詞であればここでヒットするでしょう。
方言も内容によってはここで、調べることが出来るので、当たりを付けていくことが出来ます。

とはいえ、ここで解決することは希です。
大抵は機能しません。

そこで大切になるのが、前後の文脈です。
前後の文脈には、確実にその言葉に関連した内容が登場しています。
前後の文脈の中で登場している専門用語に当たるような部分をイミクルで調べあげていきます。

辞書の中にある、歴史的な背景や関係しそうな業界に当たりを付け、
言葉の核心を目指していくことが出来ます。

これからはより専門性が求められる時代に

コンテンツはより専門性が求められる時代になるでしょう。
すると確実にこの専門用語の壁が動画編集者の頭を悩ませることになるはずです。

本当の専門家は話しが上手ではありませんし、
技術者は正しい表現を目指すが故に
難解な言葉を使いがちです。

ですが、そういった専門的な知見を持つ人の言葉や世界は
まだ多くの人が知らない未知を提供してくれる金脈でもあります。

コンテンツがつまらなく感じる理由の一つに陳腐化です。
当たり前になってしまった情報や知識には魅力が無くなってしまうのです。

そのため、より深い情報を視聴者は求めるようになります。

そこで求められるのが、翻訳者としての知見です。
AIが進化してゆくとはいえ、その進化は大衆に向けてのものになるでしょう。
先端領域やローカル領域などは発展が遅くなることが予想され、
AIによる精度はそれほど高くならないと予想しています。

すると経験と文脈から思考、判断できる知見のある動画編集者が
求められるようになるはずです。

過激なコンテンツや嘘、ヤラセに関するようなコンテンツについても
規制されていくような流れになるのは避けられないでしょう。

すると面白いコンテンツはどこへ向かうのでしょうか?
考えて見て下さい。
正しく面白いコンテンツの先は、知識の奥深さしかありません。

AIが期待できないとなれば、自分で知見を蓄えてゆくしないでしょう。
という風に思うわけです。

じゃあ、ATOKどうなんだ?ということですが………。

ATOKへの期待

現在のATOKは、誤植や打ち間違いに関して校正する仕組みが中心です。
ただ、この辺りの効率化については、
現在のAIシステムがかなり簡単に近いところまで追いついてしまうと予想しています。

なので効率化については、あまり力を入れるべき分野ではないのかもしれません。

とは言えAIの効率化は「それっぽい」という点が現状の限界ということです。
それっぽいだけです。善し悪しの精度はありません。

今後文章の生成AIも様々登場し、それっぽい文章を誰でも簡単に作れるようになるでしょう。
動画の台本についてもきっとそうなります。
ハイブランド品のスーパーコピーのようなもので、一見本物と見間違うかもしれません。
ですが、それが本物という根拠に欠け、「奥深い知識の探求が求められる」という点では致命的な欠陥と言えます。

ですので、今後は善し悪しの判断ができる「校正要素」が重要な指標になるでしょう。
この点でATOKは長年のデータと文脈をベースがある点で言えば今後長期の未来では、非常に魅力があると感じます。

校正という点でより拡張的な示唆、指摘をしてもらえるような仕組みをATOKには期待したいですね。
主に、各業界の専門領域に対する用語解説や文脈へ高速にアクセスできる導線作り。

また、歴史的文献や背景、考古学的な知見での最新の見解など随時更新される情報にも
アクセスでき判断基準となるような仕組みになっているありがたいと思っています。

そしてこれからはただ文章作成に関する部分だけではなく、
音声からの解析や映像からの解析、その他のアプリケーションと連携してゆく必要があるのかなと。
出ないと中々生き残れないのではとも感じています。

でここで問題なのが、ATOKのクリエイティブ系のアプリとの親和性の悪さです。

ATOK、クリエイティブ系アプリで暴れまくる

プレミアプロもそうですが、ダビンチリゾルブやblenderなど、様々な制作系アプリを使うのですが
どうしてもATOKの機能が干渉して、入力が上手くいかないことがあります。

半角英字にして入力したつもりが、日本語かな文字のままになっており、アプリケーション側には反映されず
OS側で止まっている状況が多々あります。

OS側で止まっているというのは、Windows、Macどちらも当てはまるのですが、アプリ内の文字が反映されず
アプリの外で吹き出しのように入力したはずの文字が溜まっている状況です。

一度この状況になるとやっかいなのが、2点あります。

溜まっていた文章がアプリに流れ込み、暴れまくる

あるタイミングで入力していた文字がアプリの入力枠に流れ込むことで、変な値を示したり
意図していないところで反映されることで、設定していた値がおかしくなり、
どこの値が変わったのか分かりづらくなる問題です。

アフターエフェクトやblenderなど、
十数のレイヤーやキーフレームを打つような構造になっているアプリケーションの場合、
突然そのようなことになると、特定するのが困難でかなり困ります。

これらのアプリでは細かい動きを組み合わせて、
一つの動き積み木のように組み合わせて作っているので
横から入ってイジられると非常に困ったりします。

多分これらは、Adobe系のショートカット機能と、
ATOKの拡張変換機能の入力がバッティングして、
バグを起こしている可能性があります。

※ショートカットキーを押していなくても、
どちらかが勝手に判断している挙動も見受けられるので互いが干渉しているのだと思います。

なのでこういった状況を回避したくATOKを終了して
デフォルトのIMEで作業する場合があります。

PCを使う利用者が文章を打つだけというのは、
かなり少なくなって来ているように感じます。

スマホが便利になった分、PCに求められる領域は
専門的ソフトの利用というところになってゆくと感じています。

スマホ利用者はそもそもコミュニケーションが中心になってゆくはずなので
ATOKがなくても、会話文や意味が通じる形であればOKとなれば
純正のIMEで問題無い。という考えになるのは避けれないでしょう。

となれば、様々なプロフェッショナルツールを使いながらも
ATOKが使えるという環境を目指してほしいなと思うわけです。

強制終了を誘因する罠

ATOKが干渉して、保存も出来ないような状況を作りだします。

イラストレーターなど文字を入力するような場面で起こりがちですが、
ATOKの文字変換機能が悪さをしているのか?

文字が入力されないだけならまだしも、
イラストレーター側が悪影響を受けたのか、
フリーズに近く保存も出来ない状況が起こったりします。

この状況も起きたり、起きなかったりでタイミングを予測するのは難しく
子どもの機嫌のような感じがしてなりませんが、時々癇癪を起こすように発生したります。

Blenderでは、何も操作できずアプリを強制終了したこともあります。
複数のアプリを並行的に使うなら覚悟しておけという事だと思うのですが、
時々こういったことも起こるわけです。

保存が出来ないと、現状復旧もままならないわけで。

もしかしたら、クリエイティブツール向けにATOKの連動、応用機能を絞って、
クリエイティブツール向けに使えるようなモードがあってもいいかもしれません。

簡単に切り換えができる状態にしておいて貰えれば、
ATOKを使い続けられるかなと思いました。

もしかしたら、このようなトラブルが原因で、
ATOK離れを起こしている人も少なくないのではないでしょうか。

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