COMAN M1 Pro V5レビュー。ワンタッチ一脚の差し馬になれるか。

YC Onion pineta proの追従製品です。

仕組みや構造はYC Onion pineta proとかなり似通っていますが細かい部分で違いがあります。
使用期間はそれほど多くないですが実際に使用してみて、
どんな感じだったか、どこまで使えるのか。

一脚としてどっちがいいのかについてレビューしたいと思います。

COMAN M1 Pro V5の仕様

  • 素材 カーボン
  • 最大チューブ径 36mm
  • セクション数 4
  • 最大高 1645mm
  • 折り畳み長 660mm
  • 耐荷重 20kg
  • 重量1622g

YC Onion pineta proと比較してみましょう。

YC Onion pineta pro

  • 素材 カーボン
  • 最大チューブ径 39mm
  • セクション数 3
  • 最高高 1620mm
  • 折り畳み長 780mm
  • 耐荷重 10kg
  • 重量 1780g

Coman M1 Pro V5

  • 素材 カーボン
  • 最大チューブ径 36mm
  • セクション数 4
  • 最大高 1645mm
  • 折り畳み長 660mm
  • 耐荷重 20kg
  • 重量1622g

後発だけあって、M1 Pro v5の方が全体的に小形、軽量なのが分かります。
スペック的だけ見るとM1 Proの方が良さそうなのが感じられるかと思います。

個人的にはM1Proの方が良かったですが、その感想は後述するとして、
実際のところはどっちもどっちでそれぞれに良い点悪い点がありました。

ですので、一概にスペックだけでの判断は気をつけてください。

M1 Pro V5の特徴

ワッタッチ方式に違いがあります。
M1proは、ハンドルノブを上下にすることでロックを解除できます。

ハンドルの動きは硬めで、少し力が必要です。
誤操作でチューブが飛び出すことがないような設計なのだと思いますが、
片手で操作するには慣れとコツがいるようなトルク感です。

ハンドル上部にロックピンがあり、
ハンドルの固定が終わると自動でハンドルにロックが掛かる仕様になっています。

ハンドルの大きさは欧米人向きなのか、やや大きいです。
Pineta proよりも遠い位置にあり、指の第一関節の辺りでチューブに指が半分掛かる程度でした。

ロック解除の仕組みから手首に結構負担がかかる感じなので、
多様する場合は腱鞘炎にならないように注意が必要です。

ロック機構の操作感は片手操作を想定しているのであれば、
Pineta proの方が良く、洗練されている印象です。

M1 Pro5は安全性と安定性を優先しているように感じました。

操作方法ももう片方の腕はチューブのグリップを握って、
両手操作を基本にしているように感じです。

両手で操作した場合は、手首に負担を掛けずにロックを解除することもでき安定して操作することができます。
この部分は、考え方の違いでしょう。

個人的には、片手はカメラを握っていたいタイプなので片手操作での評価軸になってしまいますが、
一脚を事故なく伸ばすのなら両手で操作した方が良いですし、
伸ばす時にかかる一脚の加重を考えればM1 Proの方が正解にも思えます。

両手操作をいつもする人であれば、M1 proの方が高評価すると思います。

Pineta Proはむしろハンドルロックが手の届きづらい位置に用意されていて、ロックを掛けないことの方が多く、
ハンドルが押されるとチューブが勝手に飛び出してしまうので、リスクが高いとも言えます。

脱落防止ストラップ

Pineta ProにもM1 proにも脱落防止ストラップがついています。

Pineta proの方が取り外しが出来ますが、
M1 Proの方は縫い付けられているので不要ならば切るしかありません。

脱落防止ストラップは人によっては取り回しの邪魔に感じると思うので、
取り外しが出来た方が便利だったなと思います。

この点も個人的にはPneta Proの方が好きな仕様です。

正直なところ、ここは好みの問題なので優劣に差はありません。

カーボンチューブ

M1 Proをまだ数多く現場で試しているワケではないので、
はっきりとは言えませんがM1 Proの方が良い感じでした。

滑りはM1 Proの方が良く滑らかです。

Pneta Proもスムーズではあるのですが、
隙間が大きいのか斜めでの滑り出しが悪く引っかかる印象があります。

ちょっと重いカメラで何度も使ったからかもしれませんが、
滑りの良さはM1 Proの方が良い感じです。

斜めでも自然に伸びてくれますし、Pneta Proよりもチューブ感の隙間は少ない感じです。
セクション数が増えていて不安なところもありましたが、引っかかり感はなくどれも自然に出てきます。

M1proはチューブ径もPineta Proよりも細くなっているので振動や揺れには弱いです。
とはいえ、実際の現場で使用するとPneta Proでも風に揺られてしまうので、アドバンテージはあまりありません。

どちらも伸ばしたら、ソフトタッチでカメラを支えてあげる必要があります。

ここは、訓練しかありません。

訓練すればある程度の場所であれば静止できます。
河川敷や土手などで強風が吹いているところでは、どちらも抑えきるのが難しい状況でした。

心臓を外して腹筋の辺りでカメラを支えてあげると静止できる場合もあります。
やや広角で撮影して、編集で止めてしまうのが良いでしょう。

それが嫌なら、諦めて三脚を使うしかない。という感じです。

構造上どうしてもこの問題が解消されることはないと思うので、
ご自身の技術やトレードオフ要素として受け止めておくポイントかもしれませんね。

M1 Pro V5の足

個人的に良かったのが、この足。

Pineta Proよりも僅かに短いですが、ヒンジが硬めでちょっとした衝撃で動くことがありません。
また角度調整機能がないので、折り畳みか、展開時かの2択で使い勝手が良いです。

特に運搬時に足が勝手に動かないので、直す手間を考えることがなく撮影に集中できます。
この仕様にしてくれたお陰でかなりのストレス軽減になりました。

Pineta Proはどうしても足の角度が変わりやすく、
直す手間や、足にぶつからないように気を配る必要がありました。

そういったストレスがないのは、実務上はすごく便利に感じます。
ですが、弱い部分もあります。

センターポールのゴム足の高さがなく、展開した足と同じくらいの高さになっています。
加重分散が目的なのかもしれませんが、凹凸のある場所だとセンターポールのゴム足が当たってしまい
バランスが取りづらく、不整地で石や硬いものがある場所ではシビアな印象を受けます。
平らな面や土の面では大きな違いはありませんが、あと数ミリ高かったら違ったのに。
と、少し悔やまれる部分でした。

足下の角度調整機構

レバー面積がPineta proよりも小さいです。靴を履いている場合、
つま先ではなく内側で押すような感じで、あまり触れないような設計をしているように感じました。
硬さがあり、ある程度の加重が必要です。

普通に踏めばロックが解除できるくらいのトルクですが、
こちらはロック時とロック解除時をローテーションする形になってます。

レバーとカチッと鳴る感触で判断できるのが良いですね。

Pineta Proはぬるっとしていて、
現場で使用しているとロックが掛かっているのか、そうでないのかが判断しづらく、
チューブが斜めに滑り出すことがあったので怖い場面がありました。

意識がPinetaProにだけあるような場合ならいいのですが、
実際集中しているのは、そこではないので。

バタバタしている現場では、
大袈裟くらいの機構の方がユーザーフレンドリーに感じます。

損点でM1 Proの方が優れているように感じました。

倒せる角度は製品仕様にないのですが、
Pineta Proよりも1度か2度程度深く倒せる感じでした。

この手の一脚は、あまり倒さないと思いますし、
フルード一脚で紹介されていたような前後ムーブなんて動きも
得意ではないというか、高さが変わってしまうので今だと流行らない動きかなと思ってしまいます。

ですので、この部分についてはどちらも同じレベルの評価です。

ローアングルセッティング

M1 Pro V5ですが、販売シリーズによって機構が違います。
不思議な仕様なのですが、M1 Pro シリーズでないとリリース出来ない仕様です。

M1と書かれているものは一体型でローアングルセッティングはできません。
今回はProモデルなのでローアングルセッティングが行えますが、もし購入を検討している方は注意してください。

ローアングルセッティング自体に大きな違いはありませんでした。
ですが、ロック機構の内部構造が少し違っていて、Pineta Proの方が細かく僅かに有利です。

大きな違いはM1 Proが四角形の凸部を受け止める形式で、
Pineta Proは歯車型のかみ合わせでロックしている点です。

Pineta Proの方はロック部分で方向を調整できるメリットがありますが、
M1 Proは90度単位でしか調整できません。

僅かな違いですし、雲台部分でどうにでもなるのですが、
ポジション上足の向きを変えたい時などに有効に働くこともあるので
僅かにPineta Proの方が有利かなと思います。

ローアングルの高さに違い感じられませんでした。

雲台について

こちらもPineta Pro同様雲台についてレビュー出来ません。使っていないので。
別のものに換装していて、段ボールに入ったままになっています。

性能的には、Pineta Proと同様の感じがします。
横パンは出来なさそうだなと思いました。

袋から一度取りだしただけなので何も言えないのが実情です。
とは言え、雲台は自分に合ったものに換装することをお勧めします。

重さもそれなりにあるので、軽いものにしたり、より耐荷重のあるものにしたり、
自身のカメラ重量やセッティングに合うものにすることが重要です。

評価できているのか?

思いのほか、ネガティブな要素を並べてしまっているようですが、
個人的にM1 Proを選んだもっとも重要な理由は、
折り畳み長がPineta Proより短くローアングルポジションを作りやすいからです。

折り畳み長は機動力を源泉

一脚の基本的な撮影方法はフィックスの画を撮ることだと思います。

追い掛けるような場合や、カメラを振る場合は、手持ちの方が優秀だったりしませんか。
一脚は数分単位でポイントを移動しなければならないけど受けでしっかりとした画を撮ること。
これが目的だと思います。

その場合、一脚が短ければ短いほど画のバリエーションは増やせます。
お祭りのような群衆がいるような場面では、ハイアングルが出来た方が有利なのですが、
引き以外はローアングル気味のポジションをとれた方が臨場感を作れるオプションは大きい。
水平正面カットと切り換えるのはハイアングルより早いので、
バリエーションの数を作りやすいのもメリットになります。

Pineta Proはポールのみでも780mmあり、
雲台を載せると900mm近くになってしまいスタートが水平ポジションで、バリエーションを作るのが苦しいのです。

M1 Pro V5との違いは120mmの差がすごく大きい。
雲台を入れても780mmで概ね腰の位置から狙えるので僅かに煽った画角が狙えます。

カーボンチューブを外したローアングルを狙うことはできますが、
広角で見せる場合に有効で人物を狙うには低すぎる。

ローアングルと水平ポジションの間にもう一つ欲しい。
そこを叶えてくれるのがM1 Proなのです。

そのお陰で、バリエーションの幅が一気に拡がり、撮影効率を飛躍的に上げてくれます。
この機動力は現状、M1 Proでしか出来ないことを思うと唯一無二と言っても過言ではありません。

Pineta Proでちょっとイマイチと感じていた人はこの辺りも大きかったのではないでしょうか。

総合評価

細かい仕様では、Pineta Proの方が日本人にノーマライズされている印象で細かい調整に向いている印象です。
ですが細かい調整ができるが故にデメリットもいくつかあるように感じました。

総合的にはどのような使い方をしているかで選ぶのがいいでしょう。
煽りの画を考えないならPineta Proが良いですし、画のバリエーションを考えるのならM1 Proです。

重量や携行性については、正直どちらもあまり変わりません。
何故ならこれまでの一脚にしてはどちらも重く、無骨で運びづらいからです。

ハンドルがあるため、どちらも周辺のものに引っかかりやすく、取り回しは普通の一脚より悪いと言えます。
あまり短くもならないので、リュックへの取り付けも悪く感じることでしょう。

とはいえセッティングの素早さは群を抜いていますし、撮り終えてからの移動のし易いさは楽しさすら感じます。
「慌てず、急いで、正確に」と言われたら、このどちらかを持っていくべきでしょう。

ただ二本両方を持っておく必要があるものではありません。
自分のスタイルにあったどちらかを持っていればいいと思います。

揺れの弱さなどはありますが、バリエーションを考えたM1 Proをお勧めしたいです。

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