カメラがより人間の目に近付いてきています。
人が見ている心象風景を残すには、HDRは8Kよりも
素晴らしい事なのではないでしょうか。
得られる情報
・最先端開発事情/予想
・今後の予想
得する人
・動画クリエイター
NAB2020で発表予定だったものから見えるもの
NABとは、映像関連機器の世界的な展示会です。
この展示会では最先端の映像機器を見ることができ
現在の映像業界がどの視点を持っているか。
各開発メーカーの事情の予想にも役立ちます。
今回見えて来たのは、動画のHDR化競争です。
2019年はインフラの年だった
昨年はNAB2019は2018年で大きく前に出ていた
8Kに対応するワークフローが2019年
主な注目視点だったように感じます。
配信関連の機器や編集のための
ワークフローにおけるシステム、効率化のためのツールが
鳥立てて目立っていたように感じでした。
HDRなど次世代の要点ではありましたが
紹介されているのはフィルムスタジオ向けの
ソリューションが多かった印象です。
ミドル、コンシューマラインに落ちてくるまでは3年は要するだろう。
というのが個人的な予想でした。
2020年はHDR搭載の機器祭り
HDRの開発に大きな光明が見えたのは明確です。
どの辺りが壁になるかは分かりませんが
ハイダイナミックレンジ化の壁が一つ消えたのは確かでしょう。
HDR化されていく事でよりカメラが人間の見ている世界に近付いたと言えます。
人間の目は、高いダイナミックレンジを持っています。
太陽のさす青空を見てから、人の顔を見ても人の顔が分かるのは
ダイナミックレンジが高い証拠です。
カメラならば設定を変えなければ
空か人かどちらかが見るに堪えないものになってしまうからです。
HDRとは何か
カメラを人間の目に近づけるために開発されたのが
HDR機能と呼ばれるものです。
HDRとは「ハイダイナミックレンジ」の略語なのですが
現状のセンサーだけの技術では空と人の両方を綺麗に映す事が出来なかったのでしょう。
そこでセンサーではなく違い機構で
ダイナミックレンジをあげる手法を思いつきました。
カメラを撮影する瞬間、空と人それぞれに合うセットアップで撮影し
カメラ内で1枚に合成し空と人を綺麗に映し出す技術を生み出したのです。
それをHDR機能と呼びだしたので
HDRが2つや3つの意味を内包するようになりました。
HDRのメリット
・空をより活かせる
・景色の奥行きを作れる
・より心象描写に近づける
8K不要説
高画角化が現在最も利益を生むポイントになっているでしょうか。
何故なら、多く人がスマホの画面の方が気になっているからです。
スマホの画面サイズでは4K以下で十分なはずです。
スマホの画面サイズでは8Kの恩恵はほとんどないでしょう。
キャッシュポイントがズレ始めていると感じました。
オリンピック需要などもあり8Kは超大型の
テレビ視聴や外灯モニターでの出力には必要だと思います。
それも延期になり街頭広告、大型モニター以外では
アフターコロナ以降の動きを考えても
期待があまり持てない感触があります。
2020年HDRが出てきた理由
スマホのHDR機能だと思っています。
スマホに搭載されたHDR機能が評価されたからではないでしょうか。
高画角ではなく、より明るく鮮やかさが重要だったのだと思います。
ハイダイナミックレンジの感覚をプロ機種に求められている。
そのように感じます。
そのHDRには人の心象描写があるからではないかと感じました。
心象描写とは
新海誠さんの作品の世界感です。
秒速5センチメートルが分かり易いので紹介します。
トレイラーを見てもらうと最初のカットに
男女1組の幼児が桜の咲く路地を駆け抜けるシーンが映し出されていると思います。
このカットよく見ると、日中のシーンなのに桜の影に紫などが使われています。
景色全体も赤みがかっていて、ある意味で不自然です。
しかし、見ていて非常に気持ちいい絵をしています。
カメラの覗く色と心の見ている色また別の色を持っている。
その事を気付かせてくれる非常に素晴らしい作品でした。
心象描写が求められる時代に
心の色を再現してほしい欲求がくる時代になるのでは。
ソリューションは人の心に踏み入った慮りを求められているのかもしれません。
新海誠さんの作品が評価された理由も心象描写と
ストーリーが生み出すカタルシスだと感じています。
ディレクションの方向性の一つとしてソリューションを求める人の色再現は
これから求められてくると予想しました。
そのための高HDR化は、より加速していくと感じました。