舞城王太郎さんはメディアミックスの視点で参考になるなと思いました。
メディアミックスとは
複数のメディア媒体を組み合わせて補完関係を作り相乗効果を狙うもの。
ということですが
実際には様々な視点でのメディアミックスの捉え方があり
一概にこれだというものを示すのが難しい現状ではあります。
というのもメディアミックス事態が概念的で
日本ではクロスメディアをメディアミックスと捉えてしまっている部分もあり
情報が錯綜しているという現実もあるからです。
クロスメディアとは複数の媒体を活用してPRをしていく方法を言います。
クロスメディアも手法そのものを示したり
戦略も含めて言う場合もあり捉え方が大きな用語です。
メディアミックスとの違いは、相乗効果という点部分です。
メディアミックスの要素には、人の心理的な作用までを戦略に含み
導線までを考え、複数のメディアをユーザー側が自ら主体的に他のメディアにも足を運び
展開していく戦略や流れです。
ですが実際はメディアミックスではなくクロスメディアになっている場合もあります。
原因はメディアミックスの本質を捉えられず、勘違いしたまま認識が広がってしまった経緯と
言葉だけが先行し、メディアミックスという新しい流れを利用したい
という層の動きがあったからだと思います。
舞城王太郎とは
独特の文章でSFとミステリーを一つのバケツの中に放り込んだような作家さんです。
「阿修羅ガール」や「好き好き大好き超愛してる。」などを執筆されています。
僕もある事をきっかけに舞城王太郎さんのことを知り、何冊か読んでみました。
小説家の中では奇抜なアプローチが多い印象です。
詳しくはご自身で調べてみると良いでしょう。
舞城王太郎のメディアミックス
個人や最小規模でメディアミックス戦略を打ち立てるのに参考になるからです。
小説家は圧倒的個人です。他の誰にも書けないから成立している職業だと思います。
分業で出来ない仕事のベスト3には確実に入るでしょう。
個人で成功や名声を高めていくには、既存のトッププレイヤーをその実力で越えていく必要があります。
もしくは、大きな広告代理店などの力を借り、ある意味で利用される側として展開していくしかありません。
メディアミックスには一般的には資金力と多くの人の力が必要となります。
何故なら並行的に様々な媒体で同時展開をしながら面で攻めていく形になるからです。
そもそも個人ではメディアミックスを扱うにはパワーが足りないという事になります。
ですが、舞城王太郎さんの事を調べてみると
小説以外にもシナリオを活かせる場として様々な展開をしているのが分かります。
一つは「NECK」です。
映画原作のシナリオ、そして原案として小説と舞台が行われています。
映画が2010年と10年前と、クロスメディアという形を先進的に捉えているアプローチです。
実際小説を読んでみて感じたのは、映画よりも舞台向けの内容に感じました。
その前の2008年には
「ディスコ探偵水曜日」と呼ばれる小説を出し、ライトノベル調で出してきた事も少数派のように感じます。
この辺りは西尾維新や乙一に近いスタイルのように感じました。
「JORGE JOESTAR」
JOJOの奇妙な冒険のifサイドストーリーのような形で執筆されています。
この辺りも他者の作品の物語に参画してくる点など小説家としてはやや特異な形です。
「バイオーグ・トリニティ」
漫画原作として参加しています。
物語の最終展開は舞城王太郎らしい広敷の広げ方と
強引な閉じ方がよく分かるストーリーでした。
風呂敷の広げ方が大暮維人に似ている点など
マッチングが良かったのだと思います。
漫画原作をするというのもシナリオライターに近いスタンスとるなど面白い動きをしています。
「龍の歯医者」「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」
アニメのシナリオ原作として参加しています。
ID:INVADED イド:インヴェイデッドは企画が舞城王太郎に持ち込まれている事から
原作といっても脚本に近い距離で参加しているのが伺えます。
全体を通して、小説家とは思えないようなコラボレーションを幾つもこなしています。
舞城王太郎さんはすっきりとした文章を書く方ではなく、JOJOっぽい癖のある画風のように
癖のある文章を書く方です。
ですので、シナリオライターや脚本家的なマッチングは一般的には悪いと思いますが
実に見事に体言している所がすごいところです。
シナリオライターの百田尚樹のような動きともやや違うところもあり
舞城王太郎という新しい動きをしている。
新しいメディアに率先してストーリーという形で参画している部分が
メディアミックスとして価値になっていると感じました。
学ぶべきメディアミックス戦略
一つ一つはクロスメディアです。
しかし時間という長い枠を入れ込む事で複数の媒体でメディアミックスになっていると感じました。
というのも、舞城王太郎の関わる作品として
それぞれが独立していて舞城王太郎の作品ではないという面白さがあります。
ですが、一つ一つは「舞城王太郎」というキーワードでリンクすることで
新しいコンテンツを知るきっかけの流れになり
最終的には「舞城王太郎」の小説にも手を出す仕組みになっている
そう感じました。
これは個人のメディアミックスの戦略として
参考になるのではと思ったのです。
1 先駆者が築いた常識的な成功ルートを選ばない
2 横に展開する
3 展開先を広げ続ける
4 「あ、知ってる」を作る
5 時間が関係性を作るのを待つ
6 あれも、これも舞城王太郎を作り出す
これはメディアミックスなのではないかと思いました。
縦横リンクの関係性がその人をより強い糸にすると感じました。