生成AIは動画クリエイターを殺すのか? 2025年の現場から見る「生存戦略」

2025年、生成AIの進化は凄まじく、動画は「誰でも撮れる時代」から「誰でも作れる時代」へと突入しました。
かつて「AIに強い仕事ランキング」の上位にクリエイティブ職が入っていましたが、私はこれは間違いだと確信しています。

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安心は禁物です。

正直、動画クリエイターはいま、かなりリスキーな職業になりつつあります。
なぜAIが脅威となるのか。そして、その中で生き残るにはどうすればいいのか。
私の予測をお話しします。

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AIに淘汰される動画クリエイターたち

結論から言えば、AIに動画クリエイターは殺されます。
理由はシンプル。「広告」が生成AIで作られたものに置き換わっているからです。

最近、WebCMやYouTube、Instagramの広告を見ていて気づくことがあります。
YouTube広告は非常にバラエティーに富んでおり、テレビCMレベルの予算をかけたものから、
数万円で作ったようなものまで多岐にわたります。

ここで注目したいのは、テレビCMクラスから一段落ちるレベル(ミドルクラス)」の動画です。
以前なら数百万円の予算がついていたであろうゾーン。
出演者はエキストラ含め数人、セットはハウススタジオや公園、あるいは白ホリのスタジオで撮影されるような案件です。

これらが今、急速に生成AIに置き換えられ始めています。
これは作り手にとって、恐ろしい物語の始まりです。
しかし、クライアントからすれば当然の帰結でもあります。

なぜなら、特定のシチュエーションや出演者に強いこだわりがなければ、生成AIで作っても結果に大差がないからです。
むしろ浮いた予算を広告出稿費(媒体費)に回し、
ABテストで大量のバリエーションを試すほうが、マーケティング戦略として合理的だからと考えれば、当然の帰結です。

エンドクライアントからすれば、「著名人やインフルエンサーを起用する場合以外、実写にこだわる理由がない」
これが残酷な結論ではないでしょうか。

もちろん、作り手としての言い分はあります。
「セリフの抑揚がおかしい」「AI特有のテカリのある絵に違和感がある」。それは事実でしょう。
しかし、コストが1/10、1/100になるのであれば、経営判断として合理的な方へ流れるのは止められません。

その結果、広告案件の大幅な縮小が予想されます。
ミドルクラスの案件が消滅すれば、その下のミニマムクラスも縮小します。
なぜなら、制作費の構造(人件費、機材費、ポスプロ費)は根本的に同じだからです。
市場規模の縮小と、あふれたクリエイターによる仕事の奪い合い。そんな未来が目前に迫っています。

「ドラマは人間にしかできない」という反論への回答

「ショートドラマやストーリー性のあるCMは、
役者の感情表現が必要だからAIには無理だ」という反論もあるでしょう。
確かに、現時点のAIでは繊細な感情芝居の再現は困難です。

しかし、実写の起用には別の現実的な課題があります。
「役者が起こすトラブル(不祥事)リスク」です。

高まる「人間」のリスク

近年、出演者の不祥事による広告の自粛やキャンペーン中止が相次いでいます。
SNS時代、過去の言動まで掘り起こされるキャンセルカルチャーの中で、「人間を起用すること」自体がリスクになっています。

かつて「知名度」は利用価値でしたが、今では「いつ爆発するかわからないリスク」でもあります。
今は良くても、数年後に不祥事が起きれば、過去の動画まで引き合いに出されブランドイメージが毀損されます。

役者の違約金で解決する問題ではありません。
クライアント側のダメージ、再調整の労力、関係各所への謝罪対応……。
担当者の面子は潰れ、企業の顔に泥を塗ることになります。
こうした背景から、クライアントの警戒心は2025年かつてないほど高まっています。

「将来の保証ができない実写」の提案を通すのは、今後ますます難しくなるでしょう。
それに比べ、AIタレントにはスキャンダルもリスクもありません
これもまた、AIがクリエイターの仕事を奪う大きな要因です。

内製化の加速と価格破壊

プロンプトを入力するだけで映像が作れる生成AIは、「外注」の必要性も奪います。
これまでは、撮影・照明・編集といった「専門領域の壁」があったからこそ、我々は仕事を受注できていました。

しかし、プロンプトで完結し、権利処理のハードルも低いAI動画なら、社内の制作チームで完結(内製化)できます。
外部のクリエイターに気を遣ったり、スケジュールを合わせたりする必要もなく、修正も自由自在。
しかもコストはほぼゼロ。 この「内製化」の波も、我々の仕事を激減させる未来がそこに来ているように感じます。

なぜここまで「広告」の話ばかりするのか。
それは、動画クリエイターにとって広告案件が最も大きな収益源の一つだからです。
この柱が崩れれば、業界全体が価格破壊を起こします。

フリーランス新法の施行などで企業が個人への発注を控える傾向も重なり、
組織対組織の取引が増えれば、個人の動画クリエイターの活躍の場はさらに狭まるでしょう。
撮影スキルや編集スキル「だけ」では、大幅な収入減を受け入れざるを得ない。
そんな苦しい時代が予想されます。

AIに殺されないための生存戦略

では、どうすればいいのか。
AIを出し抜いて大成功する方法ではありません。
「生き残る方法」です。

結論は、「AIと相性の悪い動画を作る」ことです。
具体的には、ライブ、イベント、インフルエンサーの配信、ドキュメンタリーなど、「本物であること」に価値があるジャンルです。

生成AIは「個」や「事実」とは相性が悪いのです。
「AIひろゆき」のようなフェイク動画はエンタメとしては成立しますが、そこには「本人」がいないからです。
「AIひろゆき」というのは、ひろゆき氏の画像をAIで動かしひろゆき氏の合成音声で声を当て喋らせた動画です。

例えば、インフルエンサーの旅動画。 もし旅先の一箇所だけをAIで生成したとします。
動画全体の10%未満だとしても、その一箇所がバレれば、動画全体が「ヤラセ(フェイク)」と認定されてしまいます。
視聴者は「本人がそこにいること」「本物の体験」を見に来ているからです。アーティストのライブも同様です。

こうした「実写であることに価値がある動画」に携わることが唯一の生存ルートだと考えるのが妥当ではないでしょうか。

ジャーナリスト的視点を持つ

もう一つの可能性は、ドキュメンタリーへの回帰です。
生成AIは、フィクションやイメージ映像の制作を民主化し、
誰もが映画監督になれる時代を作りました。その結果、世の中にはフィクションが溢れかえるでしょう。

フィクションが量産されればされるほど、相対的に「ノンフィクション(ドキュメンタリー)」の希少価値が高まります。
今知られていない社会課題や事象に切り込む、ジャーナリスト的な視点を持ったクリエイターになること。
これが生き残る道ではないでしょうか。

まとめ

いずれの道も、かつての広告案件のような派手な収益モデルではないかもしれません。
場合によっては、かつて「学校カメラマン」が経験したような、単価の安い仕事を奪い合う厳しい現実が待っている可能性もあります。

それでも、「事実を記録する」仕事はAIには奪えません。
その本質を理解し、いかに自分のポジションをシフトしていけるか。それが2025年以降を生き抜く鍵になるはずです。

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