CMフレーズから考える効果的な演出と戦略

耳にのこるCMのフレーズは、誰しも一つや二つはあるのではないでしょうか。
CMフレーズから考察した手法を研究していきます。
そしてWEBCMやWEB広告への応用も考えていきましょう。

30秒の制約の中でいかに伝えてきたか。
広告にとって大事なことは商品を知ってもらうことではありません。
記憶に残すことです。

広告過多の時代では、いかに今生活している人々の心のドアを開け視聴者と共感出来るかが鍵になっています。

時代をいかに捉えているかが大切。
時代とはその時に求めている人々の感情や悩み問題点の解決を提案しているかです。

最近のCMでは「星のや」のCMが好印象でした。
星野リゾートのコンセプトは高いサービスと少人数に限定したリッチな宿泊が売りです。
CMの中でいかに関心を抱いてもらうかが鍵となります。

コンセプトムービーの冒頭「現代を休む日」というキャッチコピーから始まります。

働きづめで疲れてしまっている現代人。
常にスマホを手に持ち電話が来れば直ぐに仕事への意識が働き職場に居なくても24時間ストレスに晒されてしまっている現代です。

「現代を休む日」というコピーは、現代の心の疲労を汲み取り現実を忘れさせてくれる魅力があります。

星野リゾートが打ちだした問題解決は現代人が抱えている悩みへの回答です。

パソコンの普及による「いつでもどこでも仕事が出来る」という強迫観念が世間一般的に感じられている点に注目し解決策としてアプローチしているからこそ魅力的に映るのです。

商品、サービスと気持ち(人の感情)を分離させることです。
商品、サービスありきで考えてしまうと人の心の本質には中々たどり着けません。

本質を捉えると自然と口コミが起こり映像自体が宣伝媒体として独り歩きを始めます。

商品、サービスありきで考えてしまうとは

・商品を売らなければならない
・売上に直結するもの
・メリット、差別化

などの心理バイアスが働き人の心が何を求めているかよりも違いを魅せる手法をとってしまうのが原因です。

心理バイアスから解放されるためには目的から一度意識や心を分離し心理的な距離を離した瞬間に作るようにしましょう。

集中と非集中を使い分けると新しいアイデアに出逢えます。
あっそれだ。と気付く瞬間を覚えていますか。
その一言を表現すると何気ない一言であることが多いはずです。

何気ない一言が何故重要なのか。
バイアスに影響を受けていない状態だからです。
バイアスとは無意識・意識的な偏重になります。

広告を制作する時私達は常に商品のターゲットを意識しています。
ターゲットの属性や性格消費傾向などの情報を頭に入れています。

傾向は分かっても感情までは想像出来ていません。
理由は数値や分布図に囚われていてしまうからです。

目的意識や結果意識によりバイアスが働き本質的な感情部分にフィルターをかけてしまっているのです。

そんな時はぼーっとすることによりバイアスの掛からない状態にすることができます。

「ぼーっと」を作りたい時は何も考えないような環境がよいでしょう。
片手間にスマホを持つ事も厳禁です。

職場から離れることも有効です。
環境的固定観念により意識を狭めてしまう事になります。
天井が高い方がクリエイティブなアイデアが浮かびやすいという研究もあります。

可能ならば、遠くまで見通せるような場所に出掛けられると良いです。

都内であれば新宿御苑や日比谷公園などがオススメです。
その他には丘のある場所から見下ろすのも良いでしょう。
高田馬場から坂の上から東側を望むのも意識の切り替えには有効です。

時間が無いときはビルの屋上に上り景色を見ながら深呼吸するのも悪くありません。

ひらめきはカオスから生まれる

客観的なポジションを作るのが大切です。

出資者やメーカー側にも囚われず、ユーザーや見込み客にも囚われない第3者のポジションになり俯瞰的な視点での感想が価値に繋がりやすいです。

広告の考え方
・ファクト
・メリット
・インサイト

というものがあります。メーカー側の強みの分析とユーザー側の既成概念を比べメリットとインサイトがマッチングするベネフィットを創造する考え方です。

このような考え方も第3者ポジションでの思考が有効です。
客観的なポジションと効果的に意識することで何気ない一言から本質にたどり着けるのではないでしょうか。

価値のあるフレーズも効果的に活かせなければ価値を届けたことになりません。

キャッチコピーを効果的に印象付ける方法としてサブリミナルという手法があります。

サブリミナルとは刷り込みです。
人間の無意識に働きかけ記憶の刷り込みを行います。

具体的な方法は繰り返しと回数です。
同じフレーズ、同じ言葉を繰り返し、刷り込みを行います。

タウンワークのCMは松本人志さんが色々なキャラクターに扮し「バイトアプリはタウンワーク」と叫ぶ構成になっています。

このCMフレーズの特徴は同じフレーズを同じ勢いで同じ人物が叫んでいるという点です。
一見、意味のないつまらないCMです。

その点を補うように松本人志さんのキャラクターを活かし色々なパターンで見せることで面白さを演出しているように感じます。

サブリミナルについて詳しく知りたい人は下記の本がオススメです。
学術的な研究の視点を持ちサブリミナルの本質を知ることが出来ます。
サブリミナル・インパクト―情動と潜在認知の現代 (ちくま新書)

サブリミナル効果と聞くと映像の中に1フレームだけ別の映像を差し込むようなものが特徴です。

有名な宗教団体がPR活動の中でその手法を実践し注目を浴びたため方法論だけが先行してしまっている印象です。

映像の差し込み技法ですが、実験の結果差し込み映像がもたらす影響は他のサブリミナル手法よりも高い成果を出していません。

何故なら映像の差し込み手法は活用率で言えば1%以下だからです。
※ 映像全体で言えば1フレーム程度でしかPR出来ていないためです。

映像の差し込み手法は本来興味関心のない人に向けた手法です。
無意識への情報の蓄積、刷り込みという点で言えばタウンワークのCMの方が長時間必要なメッセージを流すことに成功し効果的と言えるでしょう。

サブリミナルを使わない手法で効果的なCMの演出を考える時はを参考にしてください。

サブリミナルの特徴として刷り込みだけでは、結果を生まない点があります。

理由はサブリミナルの目的と効果が無意識への記憶の定着だからです。
記憶を定着させても、それが潜在的に埋もれたままでは意識の表層にあがって来られず結果を生みません。

結果を出すには、刷り込みを行い別の形で潜在意識の中から同じワードを顕在意識に引き上げる必要があります。

そのために効果的な方法としてキャンペーンがあります。

刷り込みを行ったキーワードに対して再びキーワードを想起させるようなキャンペーンが大切です。

星野リゾートのCMのキャンペーンを打つのであれば旅行会社でチラシを配る方法や、イベント会場でのトークショーなども有効です。

※ 星野リゾートではブランディングの観点からチラシやトークショーなどのイベントは組まないかもしれません。サブリミナルの観点で説明する例としてお考え下さい。

映像の視聴環境とは別の場所でキャンペーンを行うのが鍵です。

本来のサブリミナル戦略は多動的に行うのが基本です。
有名な宗教団体の主なキャンペーンも街頭での呼び掛けやチラシ配りなどがあったためサブリミナルが効果的に働く計算になるのです。

無意識下から記憶が呼び覚まされることで興味関心がその場で湧いたように錯覚させます。
錯覚を利用し購買意欲に繋げるのが本来のサブリミナル戦略になります。

刷り込み回数は最低5回以上、期間は3ヶ月から半年の間に行い中長期的に刷り込みを行う必要があります。

タウンワークのCMフレーズはサブリミナルを最大利用しています。

サブリミナルの特徴として
・サブリミナルだけでは効果を発現しない
・サブリミナルは無意識の定着
・刷り込みには複数のパターンがある

サブリミナルはあくまで記憶の想起を印象付ける戦略なのでクロージングに直接影響を与えるものではありません。

サブリミナルで得られるゴールを決めてから実践していくのが良いでしょう。
なるべく効果を出したいのであればメッセージは具体的なものの方がいいでしょう。

「バイトアプリはタウンワーク」という言葉はキャッチコピーとしての価値はありません。

狙いはバイト募集サービスの中で一番最初に思い出してもらうことです。

ですので商品名を繰り返しを思い出して貰うためのすり込むを行うCMフレーズの構成になっています。

1999年に日本民間放送連盟が放送基準を策定しました。
それはサブリミナルを取り入れた内容の禁止です。

そのため、差し込み画像などによる知覚表現を現在は利用出来ません。

放送基準の中に知覚できないという記述がありますがここでは主に視覚的知覚に重点が置かれています。
ですので、聴覚的音声情報やリズムに対する規制は強いものではありません。

日本民間放送連盟 放送基準
8章 表現上の配慮
(60) 視聴者が通常、感知し得ない方法によって、なんらかのメッセージの伝達を意図する手法(いわゆるサブリミナル的表現手法)は、公正とはいえず、放送に適さない。

リズムとパターンによる刷り込みです。
放送基準でサブリミナルが禁止されているのにタウンワークのCMが問題ないのはサブリミナルの要素を「出演者の演出と台詞」としているからです。

内容としてはグレーゾーンになることを常に念頭に置かねばなりません。
理解すべきは効果を生むための仕組みです。

仕組みを理解し効果的なCMフレーズというものの理解に繋げてもらいたいと思います。

サブリミナル効果を生むために必要なのはパターン化です。

サブリミナルのポイント
・同じリズム
・同じ構成
・同じパターン

伝えるのを複数回行うことによりサブリミナル効果が生まれます。

EDMなどの音楽が爆発的ヒットを生むのもベースとなっているリズムパターンが単純であり同じ繰り返しのルーティーンを作る事で没入感を演出しているからです。

リズムのパターン化には視覚効果よりも強力な陶酔性があるので注意しなければなりません。

サブリミナル効果を狙う場合にはリズムとCMフレーズの内容、メッセージ回数、広告出稿回数の乗算です。
さらにその後のキャンペーンとの連動が重要となります。

WEB動画での利用を考えている場合には、広告出稿回数とキャンペーンを行う体力(予算)があるかがポイントになります。

サブリミナルの戦略は大企業向けです。
大きな予算とキャンペーンとの連動性がポイントになります。
実行可能な予算があるかを計算しましょう。

WEB動画の場合はマルチチャネルへのアプローチとターゲットのセグメントが簡単に行えます。

広告の出稿予算を抑えるには、ターゲティングを厳密に行いコアなターゲットにだけアプローチを絞る形をとってください。

ターゲットを絞りアプローチ先を限定することで広告の出稿予算を抑えられます。
さらにセグメントされているので、打ち出すメッセージも具体的で効果を得やすいものとなるでしょう。

キャンペーンもクローズに近いキャンペーンで済むかもしれません。
キャンペーンの予算も抑えて実行可能なスケールを組むことが可能にもなります。

こちらの記事も参考にしてもらえればと思います。

サブリミナル効果を狙う場合は数と頻度とキャンペーンが重要という話しはしてました。

出稿回数を稼ぐには、短い広告で出稿回数と出稿期間を稼ぐ必要がありそのために、動画の内容は短くワンメッセージに留めるのが良いでしょう。

そのためにCMフレーズはどんなものが良いのか。
ゴール設計が重要になります。

認知を獲得するなら
・商品名
・メーカー名
・ブランド名

差別化を目指すなら
・キーフレーズ
・メリット

集客を目指すなら
・誘導的メッセージ
※○○なら○○へ行こう など

刷り込みは単純化が求められますが、短時間での打ち出しの場合少しでも効果をあげようとメッセージの連呼は不信感を高めブランドを損なう危険を伴います。
不信感を与えない範囲でメッセージ回数を多く入れ込むかがポイントになるでしょう。

戦略としてターゲットを狙い撃つフレーズの力を活用する。
CMフレーズにはキャッチコピーで魅せる方法とサブリミナル効果を利用した方法があることを紹介しました。

全てで通用できるわけではありませんし方法も狙いによっては効果を生まないかもしれません。

綿密に計画しフレーズに全てを込める想いで一言に纏めるように意識するとCMフレーズの本質にもたどり着けるのではないでしょうか。

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最終更新日 2020/06/01

※ 内容を読みやすくしました。

※ サブリミナルについて補足しました。

※ 放送基準について詳細を記載しました。

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