キャノンのホームページをふらふらしていると面白い発表がありました。
100万画素SPADイメージセンサーを開発したという内容です。
SPADセンサーの凄いところ
センサーの精度が凄い。
センサーの精度が凄いことで速いものを撮影するのに応用出来るとの事。
センサーの密度が高いのではなく
センサー一つ一つの感度レベルの幅が大きくなることで
高感度の撮影が可能になるという構造のようです。
今までは一つの小さなセンサーに対する限界を超えようとしている
アプローチにも感じます。
そして距離を測るのに使えるようです。
距離を測れるというのは非常にこれから大きな役割を担うのではないでしょうか。
今回は距離を測れるという視点をもう少し掘り下げたいと思います。
動画がついに3次元化
動画は3次元ではありません。
3次元に見える2次元です。
物体が動いているため、上下左右、奥行きが相対的に見えるという構造ですが
実際には3次元のものを2次元の中で3次元ぽく見えるようにしています。
そのため、遠近感や影や光のコントラストをつけていく事で
立体感を生み出す技術などが発展していきました。
このセンサーは距離が測れることで実際の奥行きの情報が
付加されていく事になります。
一つ一つのポイントで撮影ポイントからの距離が分かる事で
VRやARの素材を重ねた時により自然な動きを見せていくはずです。
例えばグーグルグラスのような半透明のARグラスと連動させることが
簡単になっていくでしょう。
劇場版SAOのようなAR体験の実現が出来る可能性を秘めています。
撮影後ピントを直せるのでは
距離情報が付加されることで撮影後の素材で間違った位置にピンとを合わせてしまっても
戻す事が可能になる可能性があります。
iPhoneに搭載されているボケ機能と似たような仕組みですが
より自然なボケが作れるようになるでしょう。
しかし、このボケはレンズ本来の持つボケではありません。
ですのでカメラとしては本来性能を発揮する形でのボケには
近い間では実現しないでしょう。
距離を記録できることでVFXでの疑似敵なポインティングから
実際の距離にポインティングできることでより精度の高い合成を可能にすることが出来そうです。
そして、ボケ具合をトレースしておけば
レンズに合わせてボケ感の調整も後から可能かもしれません。
3DCGのトレースに
3DCGの世界では非常に合成が楽になるのだと思います。
今までは、奥行きを素材から判定して疑似的な合成をしていました。
その行程が簡素化されることは確実です。
そして3DCGを現実世界に組み合わせる、CGやVFXの世界が
もっと身近になるのではないでしょうか。
もう一つ考えられるのは、距離関係をデータ化することでカメラの撮影素材そのものを
3DCG化し、様々な技術に応用が出来るのではないかと感じています。
例えば住宅など、VRでの住宅見学ももっとリアルに身近になるのが予想できます。
素材と合成の簡易化、画像のリアリティは
現在の住宅モデルを実際に体験するという流れの中では
すぐに実現したいのではないでしょうか。
医療でも使えると予想しています。
CGモデルを作るのは簡単ではありません。
CGモデルはCGモデルクリエイターに依存してしまうため
実際の細かなディティールについては経験や知見がなければ
中々求められる要点を保管できず、曖昧なCGモデルになりがちです。
とくに細かいディティールや細かな動きや
変化の再現が求められるものについてはそこが鬼門になっているはずです。
距離を記録できることで、実際の撮影素材からCGを作るのが簡単になり
細かい動きや変化に対しても正確に再現できるためカンファレンスなどで
伝えたい状況を正確に伝えられるのではないかと感じています。
価値のある物的証拠に
距離を記録できる映像素材は物的証拠の高い価値を発揮すると感じています。
事実という情報も途中で解釈が生まれることで変化します。
距離のデータが含まれることで空間的価値が生まれます。
直ぐにその価値を発揮することはないと思います。
ですが30年、50年とその時の環境を思い出すのが難しくなる頃に
距離の含まれるアーカイブ情報は価値となり文化的な記録や物的証拠になるのではないでしょうか。
様々な正確な情報を残すことが可能になり、長い目で見たときに
価値が生まれてくると感じました。
iPhoneが考える戦略から読み解くこれから
何故iPhoneなのかというとiPhoneに搭載されているLiDARスキャナです。
正直、今現在このスキャナを搭載する価値や意味を感じられない人が多くいると思います。
僕自身もこの機能の投入は時期尚早なのではないかと思いました。
しかし、ここであることを思いました。
AppleはAR市場を取りたいのではないか。ということです。
AppleにはAppleストアというものがあります。
そしてアプリの開発もある程度自由にでき
審査さえ通過すればアプリを誰でも提供できます。
自由度とiPhoneの持つシェア率を考えると新しいスキャナの機能を使って
面白いアプリを作って欲しいというオープンなメッセージなのではないでしょうか。
オープンなベータテストの場として考えているのかもしれません。
ユーザー一人一人が盛り上げて、アップルストアを通じた
最先端コミュニティーのポジションを確保したいのではないか。
そのように感じました。
Canonがアップルのような形でコンシューマの場に参戦することはないと思います。
しかし、そのうねりの中に必ず企業も参入してくることは確実です。
ハイクオリティーなアプリや
プロユース向けのスキャナセンサー搭載型カメラとして展開したいのではないか。
その時のプロユースの素材の提供を見据えて開発を進めているようにも感じました。