TVCM始めるなら、どこからか。

ネットが台頭し、動画メディアやプラットフォームが続々と登場する中で苦境を強いられているTV。
今回、TVは現在どこをターゲットにしているのか。

TVCMをもし始めるとすれば有効なのか。
その辺りについて考察しながらTVCMを打つべきなのかについて考えたいと思います。


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TVのターゲットゾーン

テレビといってもニュースやバラエティー、ドラマと様々なジャンルが存在し、
一概に「TV」というくくりでターゲットゾーンを想定することは難しいのが現状です。

とは言え、何がどう違うのかが分からないのもTV。
そこでまずは、広告を出すことの視点からTVの中にある視点の枠について紹介します。

キー局、地方局の違い

何となく分かるような、分からないような。
地元番組の有無?くらいの感覚かもしれません。

テレビ局の中にあるヒエラルキーとも言えますが
大きく分けるとテレビ局の中でもキー局と、地方局の二つに分かれています。

キー局とは、日テレやフジテレビ、TBS、テレ朝などの中心となっている放送局になります。
ここは名前を聞けばなんとなく分かりますよね。
地方局は、キー局以外の局は、放送局と考えてもらって問題ありません。

では実際にどんな違いがあるのでしょうか。

期待値の違い

キー局はネットワーク放送の中心的な局になりますので、持っている予算が違います。
そのため、放送される番組にも予算が掛かっており、面白い番組の可能性が高い。

という点で、視聴率が高くなるだろう………。という、局側の意識がありますので
基本的にTVCMを流すにも放送料が莫大になりがちです。

とはいえ全ての曜日時間帯でというわけではないので、
深夜帯や早朝などそもそもそんなに人が見ていないよね。
という番組帯のCMはお手頃だったりします。

一方地方局は、キー局と違い予算もそれなりに限られた中で番組が構成されていたり、
そもそも地域が限定されている点や、注目度を考えると、
どうしても期待値という点でキー局と比べると見劣りするため
CMを打つことを考えると、その分お手頃になります。

とはいえ、地方局と言っても大阪など力のある局もあり、
関西で制作されている番組が全国で人気になることもあり
一概にキー局が凄いというものでもないのが不思議なところ。

参考キー局とローカル局 テレビ局の系列とネットセールスとは

内容の違い

テレビ番組は概ねいくつかのカテゴリーがあるのは何となくわかりますよね。

ニュース·報道、バラエティー、ドラマ、映画·アニメ、スポーツ
この他にプラスするとすればテレビショッピング。
テレビショッピングは番組そのものが販促なので、今回は除外して考えます。

ニュース·報道

ニュース·報道の特性は、テレビの真骨頂とも言うべき部門の一つ。

その日の出来事や事件や事故などの情報を届ける番組ですが、
この分野は情報精度や取材の良心などの賛否はあれど、
インターネットメディアで映像で情報を届ける点では他では実現できない分野になり、
圧倒的な価値があります。

そのため、視聴者がテレビを見なくなった時代と言われていても、
必要な時には、テレビを見るようになる、
強力な力を持っているカテゴリーになります。

テレビ離れが叫ばれていても、一定の視聴率は期待できますし、
視聴者に関連しそうなニュースであれば
ネット民であってもテレビを見てしまうでしょう。

また速報性という点ではテレビ局の組織力は圧倒的です。

ネットでの専門家の発信や有識者の見解は、
正確性は高いものの、事件や事故、災害といった点の速報性には欠けます。

またフェイクニュースが出回るようになったことで、
個人の発信の信憑性が下がったことで事件や事故、災害の面では
テレビに勝てるものはいないため、
この部分については確実に視聴率は高くCM効果は圧倒的です。

しかし、ある一定以上の緊急性が出てしまうとCM放送を中断して報道が続いてしまうので
CMという観点では、リスキーでもあります。

スパロボで登場するエヴァのATフィールドの効果ような感じでしょうか。

ドラマ·映画·アニメ

ここでは、テレビ局が制作したドラマやアニメという位置付けで考えます。
テレビ局が制作していない映画は、
一部違うところがあるので後述のところ、
切り分けて考えてもらえればと思います。

ドラマについてもNetflixやディズニープラスなどの映画、
ドラマ専門のチャンネルを除けば競合が少ない分野と言えます。

ネットのライバルはとても多く、
その多くがYoutuberやインフルエンサーなどの個人やグループのコンテンツ、影響力です。

しかしドラマは、そのようなインフルエンサーでは実現不可能な領域です。
何故なら、ドラマは物語だからです。

人は物語が好きです。
これは人間の根源であったり本能と言っても過言ではないのではないでしょうか。
面白い物語は、続きが見たくなります。
終わりを知りたいと思ってしまいます。
衝動とも言える欲求を作り出せるのは物語しかありません。

そして、ドラマを作るのは簡単ではないということです。
ドラマを作るノウハウは非常に高度で、お金や影響力があっても中々実現するのは難しく
組織力と継続的な制作予算の確保などの観点で個人の力では中々実現が難しく
参入障壁が非常に高い分野と言えるでしょう。

ですので、包括的に見ればCM効果は一定の期待値が持てます。

とはいえ、ドラマのリスクは先程も述べたNetflixなどの
リッチコンテンツプラットフォームとの比較がされてしまうこと。

さらに物語が面白い、面白くないという点で、
博打的でありCM効果もギャンブル的になってしまうのは否めません。

映画はテレビでの放送では、基本的に映画館で放映されたものになりますので、
ある程度人気や期待値が予測されるのでドラマのような博打感はありません。

しかし、真新しいものではないため新鮮味という意味ではドラマと比べると弱く
あらすじ、ネタばれはすでにされている状況なのがドラマとの大きな違いになります。

博打感はないものの、CM枠については単発で取得するのは難しい可能性があり、
特定の映画に一点賭けというのは難しい状況。

そのため、映画とCMとの相性の悪さが出やすくなるなど、
これはこれで気になるところがあります。

また映画についても、Netflixなどのリッチコンテンツプラットフォームには、
見劣りしてしまいがちです。

ですが、視点を変えれば、Netflixなどはサブスクであるため、
サブスク費用を捻出したくない層を選別出来ているという点では
ターゲットゾーンを特定しやすいと言えるでしょう。

スポーツ

スポーツの生放送についてもテレビが持つ強力なコンテンツと言えます。
スポーツ放送は配信設備、配信のための組織力、また放送権の兼ね合いでテレビ局以外の参入のハードルは高く
テレビでしか見られないコンテンツでもあります。

そのためスポーツ中継中のCMはニュースと同等またはそれ以上に効果が期待できる分野でしょう。
また、スポーツはターゲットゾーンを特定しやすいのも特徴です。

またニュースよりも中断されることがなく、CMも放送されやすい傾向にあります。
ドラマや映画とも違い生中継ですので録画でのCMスキップなどされる可能性もありません。

この点でスポーツはテレビ局のCM枠の中では最も熱いジャンルと言えます。
しかし、その分CMの放送枠は非常に高額で、
そもそも大手メーカーとのCM枠の奪い合いになりやすいです。

また、近年スポーツの放送権の値上げなどで、
テレビ局がスポーツ放送を行えない実態出てきているため、
放送権と合わせてテレビ局側の利益を出さなければならないことを考えると、
法外な金額に耐えられるかがポイントになってくるでしょう。

バラエティー

バラエティーは上記以外のカテゴリーの番組コンテンツです。
芸能人が多数出演し、旅やクイズ、お笑いなど様々なジャンルがありますがこれらのジャンルは、
最もテレビ局の持つ優位性を発揮できないカテゴリーだと感じています。

現在の面白いと感じる要素は、多種多様になってきたこと。
また、YoutuberやVTuber、インフルエンサーの登場により芸能人の影響力が相対的に下がってきている点。
企画や構成の質の差はあれど、個人のインフルエンサーの動画企画と面白さという点で同種のものである点が
テレビでなくても………。と、なってしまう状況にあると感じています。

面白いという価値観は結局のところ、
明日、「視聴者の周囲で話題に出来るか」がポイントになってきおり
映像の質や構成力の差の力が、
あまり効果的な差別化に繋がっていない点も考慮すべきでしょう。

とはいえ、あくまでこれはコンテンツの中身の話です。
CMという視点で考えると、
視聴者にCMに入るまで継続させられるかと言われると、
テレビ番組の構成力の方が圧倒的で、
Youtube等の広告が入るタイミングなどを見ても良いとは言えません。

直接インフルエンサーに案件としてオファーした方が
タイミングや確実性と言えばいいように感じるくらいです。

一長一短はありますが、
放送枠などの費用面を考えるとネット媒体に出す方が効果的になりやすく
バラエティーは非常に難しい領域に鳴り続けると感じています。

地方局のメリット

次ぎに地方局のメリットについても考えたいと思います。
まずキー局よりもCMを打つのが簡単です。

競争が少なく、融通が効きやすい。
価格帯についてもキー局と比べると低い設定になっています。
そのため、CMを始めやすいと言えます。

とは言え、その中にも視聴率のとれる枠などがあるため
その辺りは地域間での競合が発生する可能性があり
CM枠の価格も釣り上がりがちになります。

また、放送地域が限定されている点もメリットになります。
自社の商品やサービスが地域性を伴うのであれば
全国区でCMを打つ必要もないでしょう。

アニメ枠を狙う

地方局ですがもう一つの魅力としてアニメの放送枠があります。

アニメに関しては、最新の期待作品や人気作を地方局でも放送していることが多く、
映画のように二番煎じのようになりません。

新作ドラマ感覚で見ることができ、期待値が高いものになっています。

また、特定の地域をモデルに作られている作品もあり、
モデル地域との関連性があれば
より期待値を高いものにできる可能性があります。

費用面でもキー局よりはお手頃に設定されていることも多く、
地方局のアニメ枠のCMを狙ってCMを打っていくのは有りなのではないかと思います。

参考組織学習から考える民間地方テレビ局の「大人アニメ」編成戦略

ターゲットゾーンを考える

オススメはバラエティー枠です。
さきほど、テレビの中ではもっとも競合の多い領域と話はしましたが
一般的にテレビCMの競争率は、
視聴率の「期待値×応募数」のような考え方で跳ね上がっていきます。

この辺りの細かいビジネスのせめぎ合いはあると思いますが、
CM枠が売れなければ番組としては成り立ちませんので、応募数が放送枠を埋められていない場合
便宜が図られやすいですし、安売りも起こります。

スポーツやドラマといったCM枠はどうしても局としての面子や競争率から考えると、
エントリーすること自体が難しく勝負を始めることすら困難です。

そのためTVCMの場合はエントリーしやすいところで
実績を作っていくというようなことも大切だったりします。

とはいえ、バラエティーは様々なジャンルがありますし
番組の内容とCM商品、サービスと噛み合わない可能性もあります。

例えばタウンワークのようなCM、現在ではタイミーのようなCMは
お笑い系のバラエティーなどで、多く器用されやすいCMでしょう。

理由は、ターゲットゾーンとサービスとのマッチングが良いからです。
お笑いというジャンルは、見てストレスを発散したい、
ブルーワーカーの視聴率が高いと言われています。

このような相性を番組内容からターゲットゾーンを探っていくのも大切です。

参考
お笑い番組     転職・就職・バイト、消耗品、食品、ファーストフード
旅番組       旅行商材、持ち物、家事関連、育児・教育関連、車・バイク・モビリティ
教養・クイズ番組  生活家電、化粧品、健康関連、食品関連

上記の中からテーマの番組から合っている番組を探っていきます。
広告代理店からの提案もあるかと思いますが、
自社でもリサーチや予想を立てて話を聞くことが大切です。

そして番組の出演者に目を向けましょう。

ターゲットゾーンは芸能人で見極める

CMを打つときに既に放送中の番組にCMを打てるかは、分かりません。
放送されている番組は、ある程度人気が分かっている番組です。
そのため人気であれば競争と枠の奪い合いになっている可能性があります。

新規の番組の時や、番組の内容がリニューアルされたタイミングで枠が空いている話になる可能性があります。
その場合、番組の内容が掴めるかは分かりません。

そのような時は、番組出演者の構成を見てみましょう。

10代に人気のモデルやインフルエンサーを起用しているのであれば
若い世代にアプローチしている可能性があります。

ベテランのお笑い芸人やマツコデラックスさんといった人を起用しているのであれば
30〜40代辺りをターゲットゾーンにしている可能性があります。

また、映画俳優など番宣で多くでるような形であれば
20〜30代辺りを狙っている可能性もあります。

テレビは昔から出演する芸能人の持つ人気やファンが番組を見ているという想定で考えられているため
芸能人の層によっても番組のターゲットゾーンを見極めることができるのです。

このような形でターゲットゾーンを考えていくのが良いでしょう。

地方局でCMを打つ戦略

地方局のCMは………。と思うかも知れません。
その理由として、なんとなくCMのクオリティーが低くて、
番組も面白いものが少なくといった印象から嫌煙されがちところがあるのかもしれません。

もしそうだとしたら、それは逆に狙い目かもしれません。
一つは、CM枠も良心的なことが期待できます。
CMの出稿料が少なければ、CMの質の方に予算を割くことができます。

人間の本質として、希少性求めているという部分があります。
希少性は、浜辺で宝石を発見すうるような「見付けた」感覚も含まれます。

敢えて面白い、ネタ的なCMもそういった所で流すことで一部のコアな視聴者に見付けてもらい
ネットで拡散されることで、企業のPRをめざしてゆく。

ネット有意の時代だからこそCM戦略の一つとして有効だと感じています。

また地方局では、アニメ枠のCMを狙うのも堅実で有効でしょう。
この枠はある程度の競争が予想され、やや競合との枠の奪い合いになりがちになるかと思いますが
堅実な手段でもあります。

ターゲットゾーンがややアニメ好きの層になるので、アニメの内容によって年齢が分かれてくるかと思いますが
5年前のようなオタク向けのコア層だけではなく、ドラマと同じように男女、関係なく見られるようになったため
ターゲットゾーンは広めです。

年齢層についてはアニメの文脈から考えると10〜40代辺りまでの間で
そこからアニメの内容によって分かれてくるといった状況なのではないでしょうか。

まとめ

TVCMを始めるなら、
どこから打つべきかということでバラエティー枠か地方局のCMといった形ですが
予算が非常にかかるプロジェクトになるため、
代理店の担当者と話を密にすることが大切です。

そして、話を全て鵜呑みにせず自社でもある程度、
予想や算段をつけるのが重要だと感じています。

そのための時前知識、リサーチを始める参考になれば幸です。

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