マニュアル動画といういうと研修用の動画というイメージがあるかもしれません。
ですが、研修用の動画にも業種などによってイメージも変わってくるでしょう。
今回は、マニュアル動画にはどんなものがあるのか紹介していきます。
マニュアル動画にとって大切なこと
文章と動画の違いはなんでしょうか?
一般的なマニュアルは、文章で作られているものがほとんどです。
理由は、説明書としての役割を担っている部分があり、仕様などの表現については
文章の方が優れています。
今現在は、仕様書の必要性を感じる部分が少なくなってきているかもしれません。
こちらも日本の技術力や優れた環境のおかげでしょう。
日常生活では支障をきたさないレベルの性能をほとんどの製品が持っており、
普段使いで困ることがないからです。
それだけ製品の基礎性能が高く、そして環境も恵まれているというのが仕様書が必要なのか?
と感じさせる原因かもしれません。
分かりやすいものがあるするならば、防水性について考えるのが良いでしょう。
防水性があるかどうかは、仕様に関わる部分です。
一般的な家庭用の家電には、防水性はありません。
ですので、雨の中で使うと当然ショートして壊れてしまいます。
とはいえ、日本の家電は優秀ですし、現在の多くの多く家電は多少水に当たった程度では
壊れないものが多く、忘れがちな部分でもありますね。
こういった性能があるかどうかは、仕様の部分に書かれているのですが
動画で表現することも可能ですが、効率を考えると言葉の方がコスパがいいです。
もし防水性を示す動画となると、製品を雨に晒しても動いている検証の動画を見なければならないからです。
防水性があるかどうかは、ひとこと書かれていれば理解できますしね。
一言で理解できる要素があるのが文章の強みであり、文章であれば、読み飛ばしができます。
そして辞書のようにマニュアル全体を縦横無尽に行き来しやすいのも文章の強みと言えるでしょう。
マニュアルを使う場面を想像してみてください。
当然、何かが分からないからマニュアルを使用しているわけです。
分からないレベルは人によって違いますし、理解の勘所も違います。
多くの人は知っている部分もあれば、知らない部分もある。
そして知らない空白部分を理解したい。というのがマニュアルを使用している人の気持ちです。
しかし分からないことが一つとは、限りません。トラブルシューティングのようなケースでは、
問題が複数の要件に跨がっているのはよくあること。
辞書に付箋紙を貼るように、幾つかのキーなる箇所を同時に読み進め問題の軸を探し当てていく必要があります。
こういった場合には、文章の方が縦横無尽に行き来でき、便利と言えるでしょう。
動画の強みは、どこにあるのか
動画は、人間の目線で指し示して貰えることが強みです。
文章から想像を膨らませて、理解する必要はありません。
見たまんま、理解できるというのが動画の強みです。
マニュアルは基本的には文章になります。文章を実際のシステムやプロダクトを当てはめて理解するには
ある程度、その製品について理解している必要が出てきしまいます。
さらに言えば、文章の意味とシステムやプロダクトについて、
リンクが出来ていないと、そもそも、そのマニュアルの文章が何を言っているのか分からない。
といった現象が発生してしまいます。
そのような問題を解決するために文章の中に図やイラストなどが差し込まれるようにもなりましたが、
プロダクトであれば3次元的に見ることはできませんし、
操作によっておこる変化についても文章とイラストでは
十分に理解することができないといったデメリットがあります。
動画は前後の流れがあり、三次元的に理解できるのが強みと言っていいでしょう。
そのため、文章よりも理解してもらいやすいと言えます。
更に実際と同じものを動画にしているため、
言語の壁を越えて、外国人にも説明することが出来る多用途性があるのも特徴です。
参考:映像授業が学習意欲に及ぼす効果について
※ 特定のジャンルかつ、全てにおいての面で、
記事との関係性として参考は薄いものの、
映像としての価値を創出している内容として参考になります。
因子3との関係など従来授業と映像授業の違いが参考になります。
パワーポイントを使った動画マニュアルについて
パワーポイントを使った動画マニュアルは、2.5次元的なマニュアルです。
本来の文章を発展させていますが、動画マニュアルとしての強みを活かせているかと言えば、やや疑問が残ります。
何故なら、パワーポイントは文章がベースになっているからです。
文章であれば、本やPDFのようになっている方が便利ですよね?
それを動画にしてしまうと、文章だった強みが消えてしまいます。
さらに言えば、文章ベースであるため動画も、イラストや写真を多用する形となり
動画の強みであった見たままによる理解のし易さや、三次元的な理解には繋がらないからです。
では何故、パワーポイントを使ったマニュアル動画が欲しいと思ってしまうのでしょうか。
その部分の理由についても考えてみましょう。
パワーポイントを使った動画マニュアルが何故、求められているのか
動画の強みが、実はまだあったからです。
マニュアルの使い方について、考えればなければなりません。
マニュアルを使う時はどんな時だったでしょうか。
システムやプロダクトについて知らない時やトラブルの時です。
誰だって知らないものを触る時は、そのものを覚えるためにマニュアル使用します。
マニュアルは、覚えるための教科書としての役割があったのです。
学校では教科書としてセットになっているのが先生です。
先生は言葉やイントネーション、時にはマニュアルにない解説を交えて説明することで
使い方を深く理解することができます。
とはいえ、先生一人の人件費は安くありません。
一般的な会社であれば、人に教えられるだけの知識と経験を持っている人は即戦力です。
できれば教育よりも仕事でその力を発揮してほしいというのが会社の心の声です。
マニュアル動画は、その「先生」を代替する力があるのです。
「先生」としての動画マニュアルにとって大切なこと
パワーポイントを使った動画マニュアルでは、先生として大きく二つの役割があります。
手順を教えるオペレーター的役割、そして内容を理解させるティーチャー的役割です。
二つは分けて考えることが大切です。
理由は、動画で見せる中で重視させる部分が大きく違うからです。
この二つを分けて考えると、動画マニュアルの質が変わってくるでしょう。
手順を教えてるオペレーター的役割のマニュアル
手順を教えるオペレーター的役割では、流れを視覚、聴覚で覚えてもらうというのがポイントです。
文章では理解できない理由として、
人には優位感覚というものが人それぞれに性格的に存在しており
・文章を読んで理解するのが得意な人
・見たものを理解しやすい人
・聴いた言葉で理解が捗る人
・実際に手を動かすことで納得する人
と、大きく4つに分かれています。
動画マニュアルでは、動画による視覚的アプローチ、音声による聴覚的アプローチが行えるため、
優位感覚の半分以上にアプローチすることが可能になります。
テキストを読むよりも動画の方が、学習効率が高く、人による学習度の違い(ばらつき)を減らす事にできます。
そして、操作手順に関しては、教育に掛かるコストをより抑えたいのが事実。
操作手順は、マニュアルの中でも「下地」「ベース」になる部分です。
一般的には誰でも同じことができるようになるためのもの。
動画であれば、トレーナーの人権費や、
トーレーナーの教育に充てられるリソースを別の所に使用することができます。
しかし、トレーナーが不要ということにはならないでしょう。
何故なら、動画は一方的なものであるため、Q&Aのように、一人一人の疑問には回答できないからです。
そのため、個々の対応や応用的な取り組みでは、トレーナーによる教育が必要となってくるでしょう。
とは言え、多くの人をある程度、
同時に教育してゆくのならば、
動画の方がが優れていますので
操作手順などのマニュアルは動画とトレーナーの使い所を分けながら行うことで
効率的に教育を行うことが可能になるでしょう。
学習を目的にしたティーチャー的役割
手順や決まったプロセスを教える以外の目的の動画は、
全てティーチャー的役割のマニュアル動画と言っていいでしょう。
ティーチャー的役割のマニュアル動画
「学ぶ」とは「理解させる」
一般的な意味合いでのイコールとは違うかもしれませんが、
教えるという意味で考えれば、理解させるために学ばせていると言っても、過言ではないでしょう。
しかし「理解」というのは、簡単なことではありません。
一人一人個々の理解度や得意な領域も違います。
分からない点が同じになることはありません。
本来の「理解させる」意味においては、
個々へのアプローチが必須です。
ですので、ティーチャー的役割のマニュアル動画は、
実際のところ存在しないということになってしまいます。
ここでのティーチャー的役割の動画は、どんなものなのでしょうか。
一つは、役割を分担しているマニュアル動画です。
一般的なレクチャーを動画に任せ、個々の対応についてを講師やスタッフを担う分業スタイルです。
教科書的な役割がこのようなタイプのマニュアル動画と言って良いでしょう。
動画は受け答えができません。
その部分を講師が担当することでしっかりとした教育を行うための
マニュアル動画になります。
メリットは、講師が個々の対応にのみ専念でき、講師の人権費を抑えることができる点、
動画の教材であればどこでも視聴でき、
教育の場所や時間の制限を外すことができるのもメリットです。
デメリットとして、一般的な教育と違い、
講師が一人一人の様子を見ることはできないので、
それぞれの進捗の把握が難しくなります。
そこで各マニュアルのセクションでは、
理解度をチェックするような小テストを行い
理解度を計るように設計することをオススメします。
可能であれば、文章問題を設けるようにしましょう。
マークシート方式は、正解をただ当てるためだけに繰り返すなどの方法をとる者も現れます。
一人一人の回答をチェックするコストは掛かってしまいますが、
本質的に理解度を試すには文章問題の方が優れています。
もう一つの方式は、セミナータイプのマニュアル動画です。
セミナータイプのマニュアル動画
工程やプロセスなど、フローチャート化できないような要素、
例えば、倫理観や正しさ、ホスピタリティ、マインドなどの要素は
一般的なプロセスでの説明は不可能です。
複雑な感情に訴えかけ、問いかけてゆく必要があります。
その他には、「面白いと思わせる」「取り組ませたいと思わせる」Youtubeで授業をするような動画も
セミナータイプの動画と言えます。
このようなタイプはセ大まかななマニュアルはあるにせよ、
重要なのは、気持ちに訴えかけ揺さぶることです。
テストで、理解度をはかるような仕組みは、意味をなさないでしょう。
講演家、Youtuberの鴨頭さんのような熱量が、セミナータイプのマニュアル動画では効果があるでしょう。
とはいえ、このような動画ばかりでは中身が分からないものになりやすく、
熱量を作ることはできても、実務でコケてしまう可能性が高いので
レクチャーを中心とした動画と、セミナータイプのマニュアル動画をある程度、混ぜながら行うのが理想です。
とはいえ、そんな鴨頭さんのようなことはできない。
と思うのが現実。
優先順位はレクチャー動画なので、
まずはそこを重視してマニュアル動画の設計をしてゆくのが良いでしょう。
まとめ、そして次回、パワーポイントを使ったマニュアル動画の作り方へ
今回はマニュアル動画についてどんなものがあるか紹介してきました。
こんなことが分かってどうなるんだ? と思うかも知れません。
これはあくまで前哨戦。
次回が本題、パワーポイントで作るマニュアル動画について紹介してきます。
後日公開予定