初めて動画の依頼をしたい。
そんな人のための見積もりの取り方を紹介します。
得する人
・中小企業の経営者
・広報担当者
得られる内容
・見積もりをとるまでの考え方
・見積もりをとるためのコツ
多くの企業がホームページやSNS上に
自社商品の動画を掲載しています。
動画は他の媒体よりも情報量が多く
文字や静止画よりも魅力を十分に伝えられます。
これから動画コンテンツを増やしていきたいと考えている企業にとっては
どこが妥当な見積もりで、どこが得なのかという点ではないでしょうか。
映像制作業界は決まった価格表がなく
クオリティも制作会社によって変わってくるため
見積もりの比較が難しい業界でもあります。
「自社の女性向け化粧品のPR動画」の映像制作を例に挙げ
適正な見積もりをとるために参考にしてください。
映像制作の見積もりをとる方法とは
依頼者側が希望する予算と映像イメージを以下のように設定します。
女性向け化粧品のPR動画
①抱えている問題
・商品の認知度が低いため、売上が伸びず悩んでいる。
・自転車操業に近いため早急に結果を出したい。
・SNS・WEBに関する知識が低い。
②予算
50~100万円
③映像イメージ
・インタビューのシーンを入れたい。
・化粧品の対象年齢が「10~20代女性」のため、女性に好まれる映像にしたい。
・SNSで話題になるような動画にしたい。
目的・方向性を明確にする
目的を明確にしましょう。
見積もりをとる前に最も重要なのが、「なぜ動画を作るのか」という目的です。
不明確な場合、狙いと違う動画になってしまうことになりかねません。
映像制作会社にはそれぞれ強みが違います。
目的にあった制作会社に依頼できれば
費用対効果の高い動画が期待できます。
今回は「自社商品の認知度を高め、購入を促す」ことを目的としました。
参考例では「商品(化粧品)のPR動画制作の実績が豊富」で
「SNSの活用事例が豊富」な制作会社を選定基準として考えてみます。
目的を明確にする方法
同業他社の制作実績を見てみることです。
一つの作品ではなく、複数見る事をオススメします。
どんな業種でどんなパターンが多いのかを把握しましょう。
そこから傾向制作会社の強みが見えて来ます。
複数社を比較し、映像・演出の傾向を把握するのもありです。
そのうえで、同業他社と同じような方向性でいくのか
差別化を図るのかを決めるのがよいでしょう。
ポイント
・制作実績を複数みる
・どんな内容が得意かを判断する
・複数社比較し、違いを見定める
費用の種類を知る
WEBコンテンツ用の動画制作の費用相場は「20~100万円」です。
開きがあるのは企画や動画の内容・長さ・演出
タレント等の起用によって変わってくるためです。
映像制作にかかる主な区分を紹介します。
企画費用
撮影費用
編集費用
企画費用:10~50万円
企画は動画の内容そのものです。
アイデアを映像化するプランが企画になります。
ターゲットとする視聴者層、メッセージ性を含めて提案されるものになります。
企画が十分に予算がない場合には意図しないものや
効果が薄いものになりやすい傾向にあります。
企画費用のアウトプットとして
・企画書
・コンテ
・台本案
などがあります。メールのやり取りだけで分からない部分は
直接顔を合わせて打合せする場を設けるとよいでしょう。
疑問点を解消し、認識の齟齬をなくせます。
企画費用の内訳
・企画構成費用
・ディレクション費用
・台本作成費用
企画構成費用
ヒアリングを行い希望のイメージや狙いを含めた動画プランです。
その内容を考えたり、調査するために費やされる費用になります。
ディレクション費用
費用はディレクターの稼働時間と人数で決まります。
ディレクターの業務内容は企画構成から撮影の指示、スケジューリング、打ち合わせなど多岐に渡る。
台本作成費用
動画のシーンごとに映像のラフ・演出・ナレーションをまとめて台本を作成。
動画の時間が長くなるほど費用は上がる。
<費用節約のポイント>
台本を依頼者側で用意すると予算を抑えられます。
企画・目的をあらかじめ明確にしておくことで
制作会社側の工数が減るため費用が抑えることも出来るでしょう。
<化粧品PR動画の例>
ヒアリング前に、事前資料を準備しました。
社内の女性社員へアンケートを実施。
「今まで見た化粧品のCM・動画で印象に残っているもの」
「その映像の何が決め手で化粧品を買おうと思ったか」
アンケートを集計し、具体的な映像イメージも固めてヒアリングに臨みました。
参考例などがあったため、打合せと具体的な映像の方向性を纏める事に繋がりました。
撮影費用:10~50万円
撮影を行う場合にかかる費用です。
使用する機材や携わるスタッフの数
役者の起用といった制作内容で変動していきます。
不安な場合は、現場への同行も可能です。
実際の撮影イメージを現場で確認をとりながら
チェックすることで撮り直しなどの追加予算の請求を回避出来ます。
撮影費用
撮影に関わるスタッフの人数・稼働時間・スキルによって変動が大きい。
撮影機材費用
ビデオカメラ・音声収録機材・照明機材などの費用。
高額な機材もあるため何故必要なのかは確認しましょう。
スタジオ・キャスティング費用
スタジオ費用は、撮影専用スタジオを使用するときにかかる費用。
キャスティング費用は、モデルや役者を起用する際に出演料としてかかる費用。
出演料は出演者の芸歴・稼働時間によって変動する。
ヘアメイクやスタイリストの費用も含まれる。
<費用節約のポイント>
撮影を1日に絞る、社内をスタジオとして使う
有名タレントよりもインスタグラマーを起用する
などで費用を抑えられます。
<化粧品PR動画制作の場合>
化粧品のPRには場所・撮り方・照明・ヘアメイクが要点になります。
準備時間が長く掛かるため外での撮影はコストが高め。
具体的な映像をイメージして費用感の割合を持っておきましょう。
ワンルームで鏡台の前でメイクするシーンで完結する場合には
スタジオ費用は抑えられる可能性があります。
その分を企画、キャスティング費用に回すなども可能になります。
編集費用:10~50万円
撮影した動画の編集にかかる費用です。
不要映像のカット・テロップ・効果音・BGM・ナレーションなど。
動画の長さ・編集量によって変動します。
SNSでの注目を集めるなら、ナレーションよりは
効果音・BGMにこだわるのがおすすめです。
頭に残りやすいキャッチ―なBGMを使えば
視聴者を飽きさせませんし、映像と効果音がうまく合えば
視覚・聴覚両方で惹きつけられます。
<費用節約のポイント>
動画に入れたい素材(イラスト・写真・ナレーション)を
依頼者側でできるだけ用意することでも費用が抑えられていきます。
<化粧品PR動画制作の場合>
10~20代はテレビ映像よりもYouTube・インスタグラムなどの短く端的な動画を好む世代です。
化粧品のBGMといえば優雅なイメージですが、動画だと間延びした印象になり興味が持続しません。
ポップで明るく弾むような曲調が条件でしたが
オリジナル曲の作曲依頼は行わず、BGMを購入する方向でまとめ予算を抑えました。
予算感を知る
予算感におけるスケール(予算幅)を知っておくことで
仕上がりを具体的にイメージすることができ
適正な見積もりをとる判断材料になります。
一般的な映像制作の例
①30~50万円
発注者側で映像の構成を準備し
編集とナレーションのみを依頼することで低予算で制作が可能です。
映像はアニメーションまたは実写素材。
尺は30秒~3分程度。
セミナー撮影、インタビュー動画制作など構成・撮影・編集など
一式を依頼する場合はこの価格帯です。
②50~100万円
WEBサイトの商品・サービス紹介や、説明会などでのプレゼン映像など
活用される価格帯です。
撮影日数を1日にまとめることで予算を抑えられます。
映像はアニメーションまたは実写。
尺は2~5分程度。
③ 100万円~
広告用の映像やCGを含んだ映像を依頼したい時の価格帯です。
企画・撮影・編集・キャスティング・ロケーションなど
広範囲にわたる作業が必要なため高価格になります。
撮影日数を多く確保できるので、役者やモデルを
出演させたストーリー性のある動画を制作できます。
PR動画制作におすすめの予算感
商品PR動画の制作にはどのスケールが適しているのでしょうか。
おすすめは「②50~100万円」です。
発注者側にある程度映像の知識がないと
①のように映像の構成を準備するのは
余計に手間がかかってしまいます。
③のようなハイレベルな映像はテレビCM向きです。
よって、尺・クオリティを考慮しても②が最適といえます。
化粧品のPR動画制作の例
今回は化粧品PR動画の予算を「50~100万円」に設定しているため
②のスケールで制作が可能です。
どんな内容に仕上がるのか一例を挙げます。
尺:~5分程度
この価格帯であれば、内容にもよりますが
尺は最大5分までとれるでしょう。
ただしWEBコンテンツであり、SNSで注目を集めることを考慮するなら
30秒~1分でおさめるのがよいです。
長すぎると途中で飽きられる可能性が高まりますし
冗長的でメッセージ性が見えにくい動画になってしまいます。
内容
実写(インタビューシーン)とアニメーションの併用ができます。
キャラクターを一からデザインする場合
イラストレーターが手掛けると編集費用が上がるため
用意できるなら用意しましょう。
たとえば化粧品がアイシャドウなら
実際にアイメイクする過程を映してビフォーアフターを見せる
使用した感想をインタビューするという内容が考えられます。
知名度の高いタレントは予算内におさまらない可能性が高いですが
インフルエンサーの起用は可能になります。
特に10~20代女性はインスタグラムの利用者が多いため
人気のインスタグラマーに出演してもらえばより効果的といえます。
効果的な演出を知る
基本的に映像イメージを制作会社に伝えれば
実現可能な範囲で対応してもらえます。
しかしより効果の高い動画を望むのであれば
依頼者側もどのような演出が視聴者の心を掴むのかを
知っておく必要があります。
① 人の目を惹きつける色を使う
色彩心理学の観点からいうと、動画には赤と黄色を取り入れるのがおすすめです。
この2つは広告や企業ロゴにもよく使われている定番色です。
赤は視覚的に最も強烈な印象を与えやすいです。
交感神経を刺激する効果をもち、赤い部屋にいると
体感温度が4度近くあがるという実験結果があります。
本能を刺激する特性を利用して
動画の背景色に持ってくるのがおすすめです。
今回でいえば、化粧品を映すときや
メイク後に女性がカメラ目線で決め顔をするときの背景に使うのが効果的でしょう。
※出典:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsaj/43/3+/43_155/_pdf
黄色は明るさ・希望・活力をあらわす色で
活動的なイメージを持たせたい企業でよく使われています。
(Loft・マツモトキヨシなど)
有彩色のなかで最も明るく、レッドのつぎに視覚に訴える力があります。
赤と黄色ばかりが続くとくどい印象になります。
赤をメインにするなら、黄色は注目させたいシーンに
ピンポイントで使うのがよいでしょう。
②冒頭の3秒にインパクトのある映像を入れる
動画の冒頭にインパクトのある映像を持ってくることで
視聴者が動画を見続けてくれる確率が大幅に上がります。
マイクロソフト社が2015年に行った研究によると
被験者2,000人の2000年からの平均的な注意持続時間は
12秒から8秒へ減少していることが分かりました。
いまも年々減少しています。
つまり、動画の冒頭で世界観に強く引き込む必要があるのです。
冒頭に化粧品を使用して美しくなった女性の画像を次々と映すのもよいでしょう。
※出典:https://time.com/3858309/attention-spans-goldfish/
制作会社を選ぶときの参考情報
制作会社を選ぶときに意識しておくべきことがあります。
なにより適正な見積もりをとるためには
依頼者と制作会社の間できちんと意思疎通ができていることが重要です。
こちらの意図を汲み取り、擦り合わせていってくれる会社を選びましょう。
複数の映像制作会社から見積もりをとる
1社だけでなく、複数(3社以上)の映像制作会社から見積もりをとるようにしましょう。
制作会社が考える映像の内容によって費用が変わってくるため、比較することができます。
より予算感と要望に合うものを選びましょう。
②見積もりの内訳をしっかり出してもらう
見積もりの内訳はしっかりと出してもらうようにしましょう。
ホームページの情報を見て安いと思って依頼したら追加料金を請求された、というケースもあります。
気になる点のないように明確な情報を求めましょう。
③課題に合った実績を紹介してもらう
映像制作を依頼するのは抱えている問題を解決するためです。
そのため課題や実現したいことを伝えたときに
近い事例の実績を紹介してもらえるかを判断材料の一つにしましょう。
担当者がきちんと依頼者側の状況や意図を把握できているかが分かりますし
イメージを固めるのにも役立ちます。
④アフターフォローがあるかを確認する
どれだけ担当者と擦り合わせて制作してもらっても
完成した動画に間違いがあったという場合もあり得ます。
無料で修正してもらえるのか
アフターフォローがどれだけ充実しているのかを確認して選ぶ判断材料にしましょう。
また、制作した動画をどのように利用すると効果が得られるのか
SNS上での発信の仕方などのアドバイスをしてくれる制作会社は良心的といえます。
まとめ
適正な見積もりをとる方法を知ることが、売り上げを上げる第一歩。
今回は商品のPR動画制作を例にして解説してきました。
適正な見積もりをとる方法を知ることは
視聴者の心を惹きつける映像の製作方法を掴むことにもなります。
その結果、SNSで人気が出て、商品の販売促進になり利益に繋がるのです。
制作会社に相談する前からしっかりと目的を明確にし
予算感や映像イメージを固めておくようにしましょう。
制作会社にすべてお任せでもよいですが、効果的な演出方法を知っておくと
理想的な内容に仕上がる可能性が高まります。
また見積もりをとるときは、複数社からとるようにしたり
実績を紹介してもらったりと判断材料を増やすことが大切です。
この記事を参考にして見積もりを取得し
最適な動画を制作してもらいましょう。