CMの種類とヒットのパターン

広告の代名詞であるCMにもパターンがあります。
パターンを紹介しながらヒットの秘密に迫りたいと思います。

ヒットするCMは一握り

どのCMもヒットをさせたいと思っています。
しかし現実は違います。
実際にヒットできるのは一握りです。

多くのCMは記憶に残っていません。
多額の制作費用が無駄になったまま
忘れさられていくことになります。

記憶に定着するCMを作り

ヒットさせるためにはCMの種類を
分析することが必要になります。

CMの特徴から5つのパターンを割り出し
それぞれのCMが持つ長所について解説していきます。

CMにはパターンがある

CMの種類は大きく分けて5つに分類できます。

・商品紹介系
・ブランドイメージ系
・心に刺さる系
・バズ系
・共感系

商品紹介系

自社の製品や商品、サービスの周知を目的としたCMです。

洗剤などの薬品類や化粧品といった
「効果の有無」が購買に直結するような
商品にみられるパターン
です。

洗濯洗剤「トップNANOX」のCMを見てみましょう。
はっきりと「メリット」が提示されています。

どうして汚れが落とせるのか
理由についても説明することで消費者にとって
「納得」できるCMに仕上がるので
信頼して購入することができます。

消費者は商品を使って効果を実感することで
リピーターになりますから初回の使用で効果を
実感してもらわなければなりません。

商品紹介系のCMのターゲットはリピーターではありません。
他の商品を利用している利用者です。

しかし、初めて手にとってもらうにはハードル高め。
今の商品を使い続けているわけですから
乗り換えるためのメリットを見出さなければなりません。

例えばドラッグストアでお試し用のケースに入ったシャンプーが
他の詰替え品より安く売っていることがあります。

これは乗り換えを促す狙いがあります。
一度乗り換えてもらえれば、リピーターに
なってもらえるかもしれません。
なので赤字覚悟で安売りしているのです。

CMはこの初回の購買を促す重要なチャンスになります。
乗り換えのためにも商品メリットが強調されて
いなくてはなりません。

効果的な構成や表現方法を組み立て
更にひと押し「納得」できる情報を付加したり
お得感を追加することで購買を促しましょう。

納得を作るポイント
・権威性
・恐怖

権威性と恐怖訴求とは

権威性とは「◯◯大学との共同研究によって生まれた新商品」のように
信頼できる第三者の存在による主張です。

権威性が人の購買行動に与える影響について
過去の実験例を元に解説されています。

恐怖とは
消費者の恐怖心を煽り購買に繋げる手法。

歯磨き粉は分かりやすく、従来の商品では
歯垢ポケットに残ってしまう歯垢まで洗い流せます。
といった謳い文句を多用します。

「これまでの商品のままではあなたの歯垢ポケットは汚いままです。
放っておけば虫歯になったり、歯槽膿漏になってしまいます」
「治療に時間やお金がかかったり、痛みを伴います」

具体的なリスクを提示することで
消費者に「この状況になりたくない」という危機感を与え
購買意欲を刺激します。

消費者は「解決策」として
与えられた商品の情報に対して
信頼感を持ち、救いを求めて商品を手に取る。
という仕組みです。

ブランドイメージ系

商品の説明をするのではなく、ブランドのイメージの定着
認知のために打ち出されるCMです。

日産のCM
矢沢永吉さんが渋い笑顔とともに
日産のセダンを走らせながら、一言
「やっちゃえ、日産」とつぶやくCM


ブランドイメージを高めるために打ちだされた広告と言えます。
矢沢永吉さんが持つ「渋さ」を加えることで
さらに良いイメージが加わりました。

ブランドイメージ
「孤高」
「高級感」
「渋い大人の車」

「やっちゃえ、日産」という一言はブランド力を高めるコピーです。
矢沢永吉さんの持つ「孤高」「高級感」のイメージと賭け合わさって
日産のイメージ向上に一役買っています。

音楽や色による印象の操作を巧みに
行うことで更に効果を高められます。

たとえば黒は高級感を与える色です。

色彩心理学では黒は「高級感」や「重厚さ」「男性性」といった印象を与えます。
メルセデス・ベンツなど高級車ブランドがCMに好んで使う色でもあります。

また、周波数の低い音と黒い色は相性が良いです。
ピアノの低音や大型の木管、金管楽器が奏でる音色と
黒色が混ざりあうことで高級感の後押しに繋がっています。

色や音が与える影響を理解し、誘導したい印象から逆算して
色や音楽を選ぶことでブランドイメージを高めることができる。
というわけです。

の書籍を参考にしてみてください。
音楽心理学についてはこちらが参考になるでしょう。

心に刺さる系

とにかくインパクトに残すには
こころに刺さる系のCMが有効です。

普段生きていて目にすることのない状況や
見たくないもの、気付きもしなかったものを取り上げ
ありありと描き出します。
リクルートのCMが良い例でしょう。

「人生はマラソンだ」

よくありがちな名言が続き
多くの若者が一様に同じ方向へ
走る映像が流れます。

ちょうどCMの半分を経過した瞬間、先程まで脇目もふらず
走り続けていた青年が突然振り返り
こちらへ問いかけます。

「本当にそうか?」と。

そこから蜘蛛の子を散らすようにランナーは好き勝手に走り回ります。
スカイダイビングをしたり、クラブで飲んだり、ベッドへ飛び込んだり。

ランナー用のゼッケンを付けたまま
めいめいに楽しみだすランナーたちの姿とともにナレーションは続きます。

「誰が決めたゴールなんだ」
「自分だけの道をゆこう」

CM前半とは打って変わった内容を伝え始めます。
その前半との落差に、見ている視聴者は引き込まれるでしょう。

ランナーはこちらを向いてもう一度問いかけます。

「誰だ、人生はマラソンだなんて言ったやつは」と。

自分が送っている日常は
無意味なマラソンの延長線上にあるのではないか
と自問させてくれる、考えさせられる内容です。

刺さる系のCMは、このように一度自分を立ち止まらせて
俯瞰するきっかけを与えてくれます。

視聴者はCMをきっかけに自分の本心と出会います。
ある意味では自己啓発に近いでしょう。

自分を見つめ直すきっかけになるような
感情を揺さぶるCMは、記憶に残りやすい事が多いです。

これは記憶のシステムに直結しており
科学的な根拠のある言説です。

脳が情報を記憶するには、その情報が
「生存に必要だ」と脳にジャッジされなくてはなりません。

感情を揺り動かされる情報は基本的に「生存に必要だ」と
判断される重要な記憶として、脳に定着しやすいと言われています。
記憶について詳しく知りたい方はこちらの書籍を参考にしてみてください。

バズ系

2016年には大人気ヴォーカルダンスユニット
「三代目 JSB」による「シェアハピダンス」が
若者の間に流行しました。

以前からポッキーはバズ系CMを作り出すのが上手く
商品の特質(シェアしやすい)も相まって
CMで使われた曲やダンスが人気になり
CMから「バズり」を生み出すのが非常に上手いです。

流行を作り出すことを目的としたCM制作も
手法としては確立してきています。

バズの特徴
・シェアされる
・視線の高さが同じ
・流行を作る

2016年に流行した三代目JSBの「シェアハピダンス」です。
SNSなどで話題を呼び、多くの中高生が踊りを真似して
動画を投稿するまでに至りました。

キャストが楽しそうに踊ったり歌ったりすることで
見ていて「楽しそう」という雰囲気が伝播し
人気者を起用することで友人などとの会話で話題に上ります。

「楽しい」ポジティブな感情をマーケティングに利用する手法
科学的根拠を持ち、多用されている手法です。

詳しくはこちらの論文をご覧いただくとより理解が深まると思います。
http://www.yhmf.jp/pdf/activity/aid/41_13.pdf

ここでただ人気者が起用されているだけであれば
「〇〇がでてたよね」という会話で終わっていたでしょう。

キャッチーな音楽、ダンスが織り交ぜられているために
「ちょっとやってみようか」という発想につながります。

ポイント
・「できそう」
・「歌えそう」
・誰でも出来る難易度

あまりに難易度が高いと真似したくても真似できなくなり
感情の伝播を難しくしてしまいます。

楽しい雰囲気とキャッチーなダンスや歌
どちらか一方ではなく両方が揃っているからこそ
伝播した「楽しさ」に「やってみよう」が加わり
バズの輪が広まっていくのです。

インフルエンサー型の認知拡大

例えばKLASSE14という時計のブランドは
若者を中心に人気を博しています。
しかし、CMを打ち出したことは一度もありません。

どのようにして人気に火を付けたのかというと
人気のイラストレーターなどネットで
影響力の強いインフルエンサーを利用したのです。

もともと若者をターゲットにした時計なので
選んだSNSはツイッターやインスタグラムでした。

SNSで広めたポイント
・有名イラストレーターの起用
・キャラクター連動商品
・関心と認知度の強化

そこでフォロワー数の多いイラストレーターに無償で時計を提供
KLASSE14の時計を身につけた
オリジナルキャラを描いてもらうことで
自然な宣伝を行いつつ広告費用を抑えています。

もともとイラストレーターとして
人気を博す人にはそれぞれの「絵柄」があり
ファンはその絵柄を好きになります。
世界観と言い換えても良いでしょう。

ファンにとってその世界は魅力的に映るもので
自分が好きになったイラストレーターの絵に描かれているものは
全て好ましいものとして捉えられるのです。

つまりKLASSE14の時計を見たことがなくても
好きな人が描いたイラストでイメージは良くなり
信頼感がアップし、好感度が増します。

これは心理学のハロー効果という心理作用で説明できます。
簡単に説明すると、良い一面を見ただけで、付随する他の情報も
「良いものだ」と早合点してしまうことを指します。

ハロー効果
・良い面の影響を受ける
・関係性による影響
・ブランディングにも繋がる

この場合「好きなイラストレーター」という良い一面が
「イラストに描かれている時計」にも好影響を及ぼし
宣伝効果が高まる要因になっていると言えます。

従来のように広告費を多く支払うことなく
若者にターゲットを絞って効果的な宣伝が行えている
バズり上手く広告宣伝に活かした例です。

共感系

ワールドカップやクリスマスのシーズンになると
コカ・コーラ社のCMは共感系の手法が多く使われています。

最近ではアップル社が売り出している
MacのCMにもみることができます。

家族や友人と一緒に笑いながら
コカ・コーラを手にし、Macを使って生み出した創作を見た人が
クリエイターに笑顔で駆け寄ったり、穏やかでほっこりとした空間を
演出して心を和ませるCM制作の手法です。

燻っているクリエイターがひょんなことから
自分の作品を街にばらまいてしまい
それを拾ったみんなに認められる瞬間が描かれているCMですが
もちろん使っているパソコンがMacであること以外に宣伝は行われていません。

強いてあげるなら最後に表れる
「あなたの表現力を届けよう」という一文だけです。

前半の主人公を見ていると、狭い一人の部屋の中でなにかを
創作しているのが分かります。

しかし、途中で難しい顔を浮かべ難航している様子。
本当に自分は認めてもらえるのかどうか苦心しているようにも見えます。

窓が開かれ、自分の作品が多くの人の手に渡ってしまった瞬間
視聴者の間には主人公と同じ「緊張」が走ります。

これはすでにCMの前半で主人公の「認められるのだろうか」
という苦悩に共感してしまっているからです。

それが認められます。
町の人達は笑顔で主人公の元へ寄ってきますが
瞬間視聴者は「カタルシス」を得ます。

カタルシスを作る

カタルシスとはアリストテレスが初めて提唱した概念です。
近年では著名な心理学者フロイトが精神分析によって
葛藤が解消される瞬間のことを「カタルシス」と名付けたことから
物語や映像において、読者や視聴者が快感を得る瞬間のことをカタルシスと呼びます。

他には浄化、という意味も含まれていますが
いまいちピンとこない方もいらっしゃると思うので
わかりやすくシンデレラを例に挙げてみましょう。

シンデレラの物語
・シンデレラが継母や姉たちにいじめられる
・魔女の魔法でお城のパーティへ出かける
・王子と楽しいひと時を過ごす
・魔法が解けるので慌てて帰宅
・後日、王子が現れて靴のサイズを頼りにシンデレラを見つける
・二人は結ばれて幸せになる

物語が最も盛り上がるのは
やはり王子様が現れる瞬間です。

なぜ盛り上がるのかと言えば
読者の感情が「浄化」されるからです。

これまで虐げられてきたシンデレラが
ようやく王子様と仲良くなりこのまま上手くいくかと思いきや
魔法の時間切れで城をあとにし、読者は絶望します。

またあの辛い日々に戻るシンデレラを想像すると胸が痛み
ストレスを感じます。

そこに、王子様が現れて絶望の淵から救い出すのです。
読者の気持ちは浄化され、快感を得ます。

これが簡単なカタルシスの効果と作り方です。
一見すると簡単ですが、これはCMや物語を制作する上で
かなり重要になる要素です。

「苦悩」からの「開放」を経て人間が得る「快感」
これは人に心地よさを与え
最後には安心感や温かみを与えます。

カタルシスとは
・快感を感じる瞬間
・フロイトが命名
・人の感情を動かすポイントを作る

共感系のCMはカタルシスを使うことで心をほっこりさせ
人間の本質や美しさ、希望など明るい感情を与えることを目的とします。

クリエイターに支持される事が多い機種ということもあり
共感系のCMが選ばれたことは納得できます。

実際、このCMを見てなにかを始めよう
というポジティブな感情を得る人は多いのではないでしょうか。

まとめ

CMをヒットさせるためにはすでに
一筋縄の方法論では上手くいかなくなってきています。

必要となるのは成功事例や先行事例を分析し
戦略的にCM制作の計画をたてることです。

そこで重要となるのは、CMのパターンを理解することです。

それぞれのパターンが持つ強みまで把握した上で
自社がPRしたいものはなんなのか、という点を明確にし
制作するCMのパターンを決めます。

これが骨組みになり、細かな肉付けを行っていきます。
どれだけ肉付けが上手くいっても大枠の骨組みがマッチしていなければ
「クオリティは高いのに誰にも刺さらない」CMになってしまうでしょう。

この記事を参考にしてCMのパターンを理解し
広告に最適なCMの制作に役立ててください。

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